脳裏
柊木快維
脳裏
憲法の日の自慰ひどく長引きぬ
はつなつの画廊に溶けてしまひませう
万緑や光は滅べないらしく
鳥の死を象る夏の雨まばら
薔薇園ででたらめに踊らうか、今
水鉄砲ちよつとだけ殺意が漏れる
脳を水母で覆へばきもちよささうね
あぢさゐや猥談が熱帯びてくる
噴水の無理に光つてゐる時間
とぎれとぎれの会話に髪を洗ひつつ
白夜きみの昏いくびすぢに棲みたい
プールの底で言葉は奪はれつづける
これいじやう海をひらいてゐてはだめ
短夜に書く詩の〈世界〉うすつぺら
いうれいに飛び蹴りを喰らはせようか
夕焼はなりそこなひの抽象画
花火終へ脳裏に花火つきまとふ
死ねよつて白シャツくらゐ爽やかに
あさがほをいふこゑあをくうはずつて
取説に落丁はげし敗戦忌
脳裏 柊木快維 @kominato2003
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