懐青 / 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部 / 二十首連作】

星るるめ

懐青

夢の中でしか帰れぬあの家に忘れたものを取りに行くんだ


急降下 空切るすずめと目が合った 君も憂うか世の不条理を


深夜2時電波に潜って星になる19の頃のあの子に会いたい


もう一度思い出せたら昇るからあの日に繋いで追憶ソーダ


泣いて寝て泣いた体で飲み干せば黄泉まで見せてよ幻想サイダー


指ひとつどこでも浸れる白昼夢 綺麗な歌が鳴り響いていた


ドア越しの世界は朝なの夜中なの 別の路線で夏が過ぎてく


悲しみを剥いてもそこに明日はない 全部刻んで食べてしまおう


空っぽのくせに僕から滴った涙を愛とか言うやつがいて


涙すら眩しい人の瞳から微かにこぼれたダークサイド追う


もういっそバニラアイスになっちゃって食われて溶けて終わるのもいいね


そうやって偽ることが悪だとは言えなかったよ君は君だった


過ぎ去った日々の全てが毒だとも言いたくはない僕は僕だった


濃い青の期間もいつの間に過ぎて姿かたちは大人になって


思い出すブルーがいつも事実より美しいのは脳の作用か


処理できずにいた歪な感情の全てを今夜解き放ってゆく


明けの空そっと消えゆく懐星の末路は見ずに眠りについた


このうたに意味などないさ 消えるのがこわくて発し続けてるだけ


ファンタジーだよ真偽など探らずに淡い世界をただ楽しんで


遠くまで飛ばなくていい ただ君に深く刺さって沁み込め懐青

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懐青 / 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部 / 二十首連作】 星るるめ @meru0369ymyr

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