第6話 可愛いといじめたくなるってあるらしい

「あつぃー青ーみずぅー」


 じめじめとした暑さが続く7月中旬、俺たちは神崎と川崎さんとプールに行くため待ち合わせ場所の駅に向かっていた。


「ほらよ」


 水を手渡すとこれでもかという勢いで腰に手をかけ水をがぶ飲みしていた。


「ぷはぁーー」

「そんなに水一気に飲んだらトイレ行きたくなるぞここら辺コンビニもないし、」


 葉月は少し考えてこう答えた。


「なんとかなるでしょ!」


(やっぱりそう言うよな……)

 と心の中で呟いた。


 そうこうしてるうちに待ち合わせ場所の駅に着いた集合5分前である。家から駅までは歩いて少しかかるので葉月は疲れて駅前のベンチに座っていた。


「おいー青こっちおるでー」


 遠くで神崎の声が聞こえ、駅の入口付近に神崎がいるのが見えた。


「葉月ー神崎いたぞー」


 葉月を呼ぶと何故か、てくてく歩きでこちらに近寄ってきた。ツッコミそうになったが、拳を握りしめてグッと堪えた。


「やっほー神崎くんー」

「相変わらず元気やなー」

「元気過ぎて困るけどな」

「青も冷たいなー」


 俺は近くに川崎さんが居ないことに気がついた。

「なぁ、神崎、川崎さんどこだ?」


 少し変な間が空いて神崎が答えた。

「あ、あーなんか、川崎は先に向こうでなんか用事があるとかで先向かったで、、、」


 神崎は少し動揺し少し声もふるえ、少し顔も赤くなっていた。


「どうした神崎顔暑いぞ?」

「え?、そうか多分暑いからやろな、はよ電車のろや、な?」


 神崎らしくない動揺で少し気になったが俺はあえて見ないふりをして駅のホームに向かった……


「ねね、青」

 駅のホームでトイレに行った神崎を待っている最中スマホを眺めていた俺に葉月が声を掛けてきた。


「なんだ葉月」

「私、今日少し神崎くん変だと思うんだけどー」


 神崎と毎日一緒にいるわけではないがいつもの神崎の様子と違っていて葉月も少しの違和感に気づいていたようだ。

(やっぱり葉月も気づいてたか)


「そうだよな、川崎さんの話出したら顔も赤くなったし」

「うーん、やっぱりそうだよねー」


 葉月は何か閃いたように俺に言った。

「青、共闘するよ!」


 俺は葉月が考えている事が手に取るように分かった、俺は不敵な笑みを浮かべまるで江戸時代の悪人のように言った。

「お主も悪よのぅー」

「さすがー私の幼なじみ」


 するといいタイミングで神崎が帰ってきた。


「2人ともごめんなーお待たせー」

 さっきの動揺していた神崎と違っていつもの神崎に戻っていた。

「神崎くんートイレは先に言っておかないとー」


 葉月がそういうと葉月は俺の方を向いてアイコンタクトしてきた。


(青、かませ)

(ラジャー)


「なぁ、神崎」

 俺はいつも神崎に喋りかける感じで声を掛けた。


「なんやー青?」

「お前って川崎の事好きなのか?」

「え、は、あ、え、え、何言ってるねんいきなり、青そんなん言うタイプちゃうやろ、い、いきなりなに言ってるねん!」


 さっきまで冷静沈着だった神崎がいきなり顔を真っ赤にした。そして、俺と葉月は心の中で思った。

((ビンゴ))


 そしてダメ押しかのように葉月が言った。

「私ー聞いちゃったんだよねー実は杏奈ちゃんがー神崎くんの事……」

「ちょっとまていー葉月それはやりすぎだろ」


 いくらなんでも作り話を言うのはやりすぎだと思ったので葉月を止めに入った。



 コッン……コッン……



 俺が葉月を止め入った時、ハイヒールで階段を歩く甲高い音が響いた。俺らは甲高い音が気になり全員後ろ向いた。


「陽向ー」

 ふわふわとした、言い方で言いながら、神崎の方に向かってきた。紺色のワンピースを身にまとっており肩に白のカーディガンを羽織っていた。出ている所は出ていて引っ込んでいる所は引っ込んでいて、少し見覚えのある姿をしていた。


「だめじゃん、私に嘘の集合時間教えて、みんながいるからって、2人の時みたいにならないと思ったら大間違いだよ、反抗期かな?後でお仕置だね」


 女性は耳元で神崎に囁いていた。近くに居た、俺にも葉月にも聞こえていた。俺らは神崎に言った言葉に戸惑っていると。


「2人ともお待たせ、川崎杏奈です。」

「「え?、ええぇぇぇーー」」


 俺らは驚きを隠せず声を上げてしまった。

「まって、杏奈ちゃん学校とキャラ違いすぎる誰か分かんなかった……凄いエッチなお姉さんって感じ…」

「うふ、びっくりした?」


 学校とは口調が違うかったが俺はすかざす質問した。


「神崎との関係って……」

 俺は恐る恐る聞いた。杏奈は神崎の腕を自分の胸に引き付けて言った。


「私の可愛い彼氏だよ♡」



 俺はその言葉を聞いて全てを察した。

 神崎が顔を赤らめていたのはきっと川崎さんからメールでからかわれており。俺が川崎さんの話題をだしたことによってからかわれたシーンを思い出しのだと。

 正直なんて可愛い奴だと思った。


「杏奈やめてくれ、これ以上は死ぬ」

 珍しく神崎の関西弁が外れていて、見るからに焦って顔が真っ赤になっている。


「えーやめないよ、私」

「そろそろやめろ!2人だってみて……」


 俺らは呆気にとられた……川崎さんが神崎の頬を抑え付けてその場で神崎の唇を奪ったのだから

 しかも濃厚な方で神崎はあられもない声をだしていた。

「う!?、う う はぁ う」


「はい、逆らったらだめでしょ、電車も来たしみんないこ?」

「「う、うん」」


 神崎はさっきのキスが効いたのか1本後の電車に乗る事になった……電車に乗り込りこむまで神崎をからかっていた、川崎さんである。


「それにしても、大胆だね杏奈ちゃんって」

 電車が出発して直ぐに葉月が杏奈に言った。

「ちがうの、私も凄く恥ずかしんだから!!」

 いつもの川崎に戻っていた。

「そうなの?性癖でいじめたくなるみたいなのではなく?」


 結構アバウトな質問をする葉月、杏奈は質問の返しに「えーと」と戸惑っていたので、俺は話を変えた。


「俺はそっちより神崎が違いすぎてびっくりした、関西弁外れてたし」

 少し間が空いて川崎は答えた。


「陽向は昔から、あんな感じだったんだけどさーふと思ったの、こんなにクールで優しい男子が私に色んな事されて焦ってる姿みたいなって、それで元々陽向の事好きだったから、少しからかってみたの、そしたら意外と可愛くて、もう興奮が止まらなかったの///」


 川崎さんは天国に行くのではないかと思うくらい目がとろけていて少し息遣いも荒くなっていた。


 俺と葉月はアイコンタクトで会話をした。

(これもう完全に性癖だね!青)

(いやそこじゃあないだろ、話が凄すぎて突っ込めない)

(そこでもないでしょ)


 他人がみたら2人ともいや、そこじゃあないだろとツッコミたくなる。裏でこんな茶番劇が起きてる事も知らず、川崎が言った。

「でもね、今日は2人が居たから、陽向の事からかっただけだから!今日はプール楽しも!」

「俺もプール好きだから楽しも」

「わたしもー」


 そんな会話をしてるうちに目的の駅に着き神崎を待った。遅れて10分後神崎と合流した。


「よしーみんな揃った事だしプールにレッツゴー!」


 葉月が元気な声で言って楽しい雰囲気でプールに向かう。プールは駅の目の前にあるので、プールのチケットを確認しようとした時だった。


 担任の先生からメッセージが来た。担任からのメッセージだったので俺はすぐに確認した。


「えーと、何何、夏休みを満喫中ごめんだけど、今すぐ学校に来てくれー、校長先生が君たちをご指名してるぞ♡ご指名メンバーは橋本青、赤羽葉月、神崎陽向、川崎杏奈、このメンバーは校長先生直々にお願いがあるぽいから来てねー、生徒を愛する、担任松村より、 ちゅ♡だってさ……」


 俺たち4人は1度落ち着き深呼吸して息を思いっきり吸い上げて、一斉に言った。


「「「「ふざけんじゃあねぇぇぇぇー」」」」


 こうしてプールの予定は、無くなり神崎と川崎さんが付き合っているという事だけをしって渋々学校に向かう4人であった。





 __________________

 皆さんお久しぶりです!テスト期間で投稿遅くなりました。杏奈のお姉さん系しようと思って出てきて速攻キャラ変ですね。まぁ少しくらエッチ女子いてもいい感じになると思ったので大丈夫でしょ!他のキャラもどんどんクセ強にして尖らせて行くのでこれからも応援よろしくお願いしますm(_ _)m、応援、応援コメント、レビュー等々もよろしくお願いします(>人<;)

 一応チェックはしてるんですけど誤字脱字あったらすみません。










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