第3話 作戦会議!
「お姉ちゃん、愛里。ちょっと聞いて欲しいんだけど、いい?」
入学式も終わり、服を着替えてお部屋(ちなみにみんな同じ部屋)でのんびりしてたら。二番目の姉であるえま姉が深刻そうな顔をして話しかけてきた。
「どうしたの、絵愛。急に改まってさ」
まな姉が半分茶化しながら言うと、「真面目な話なの!」とえま姉は少し怒って言った。
「あのね、今日、クラスで自己紹介があったの。その時にあたしはハイドラに出るつもりだって言ったのね。そしたら、後ろの席の子もハイドラに出たいらしくて、帰り際に宣戦布告された!」
早口で語るえま姉。
でも、愛里はそれ程驚かなかった。だって、居るということは想像していたから。
今や高校生アイドルはたくさんの高校生、中学生や小学生の憧れ。高校生アイドルがいるかどうかを高校選びの基準のうちの一つにする人もいるくらい、高校生アイドルは人気なのだ。
んー、でも、意外だったな。まな姉なら驚くと思ったんだけど。
「え、二人は驚かないの!?」
と勢いよく言うえま姉とは対照的に、おっとりのんびりとした感じでまな姉が言う。
「えー、だって、女子部門と混合ユニット部門でわかれて出ればいいんじゃないの?」
……呆れた。
多分呆れてるんだろうな、えま姉もはぁ?って感じの顔で見てる。
仕方ない、ここは愛里が説明してあげよっと。
「あのね、まな姉。男子校及び女子校は一つの学校につき一部門しか出られないの。同じ高校から同じ部門に出ちゃいけないことは知ってるでしょ?決勝戦に出られる上位五組を同じ学校のアイドルが占めたら面白くないもんね。で、なんで男子校と女子校は一部門しか出られないかって言ったら、校内選考で落ちたから別の部門にエントリーしました、っていうのを防ぐためだよ。あくまでも、混合ユニット部門は男子、女子もしくはその他の人たちのための部門で、校内選考に落ちたグループが出るための部門じゃないんだよ」
ハイドラことHIghschoolDreamLiveの大会は、高校生たちが自由に自己表現をすることを目的にしている。だから、男女で一緒にやったり、男子、女子以外の人も出られるような部門を設置したんだ。
「え!?それ、ほんと!?だとしたらやばいじゃん!」
愛里の説明を聞いて、まな姉が驚いた声を出した。……遅いよ。ハイドラに出たいならエントリー規約くらい見とこ?
「そうだよ!だから話したのに!で、どうするの?」
とえま姉。すると、まな姉はうーんと言ったあと、「あっ!」と声を上げた。
「あのさ、もう今のうちから曲を作ろうよ!ハイドラ出場権を賭けて戦うんだから、それって多分ライブ対決になるでしょ?だったら、もう今のうちから練習を始めとけば、ちょっとはリードできる!」
うーん、それ、相手も考えてると思うなぁ……でも、いい意見ではある。というか、それ以外に方法なんてあるの?
「おけ、だったら曲を作ろうよ。どんな曲にする?」
とえま姉。対応するの早いな……
にしても、どんな曲がいいのかな…
女子アイドルだからやっぱり恋愛?それとも、クールな感じで攻める?いや、ここは仲良しさをアピールするべき?
うーん、どれもしっくりこない。なんかこう、ピン!と来るものがないかな……
「あっ!」
その時愛里は思いついた。多分、一番いいと思う。
「どしたー、愛里?」
と聞いてくるえま姉、そして考えてるまな姉に向かって、愛里は言った。
「応援ソングを作ろうよ!聞いてて力が湧いてくるような!」
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