第3話 情報を知っている人?

 ピコンと通知音がなる。

 一体何だろうと通知を見ると、tuitxskのDMだった。

 DMを開いてみる。知らない人……フォロワーさんでもない。

 誰だろうと思い、返信を返してみる。すると思いがけぬ返信が来た。


 『掲示板を見ました。私、樹鳴について少し情報があります』


 情報がある――その文章は一見魅力的に感じた。

 だが、それと同時にこれはお本物の情報か? もしかしたらデマかもしれない。

 返信を迷っていると、追撃のようにきた。


 『今現在ネットニュースにもなっている事件の関係者です』


 ドクンと胸の脈が打っているのが分かる。怪しい、けれどそれ以上に事実であれば美味しい話。

 この機を逃してはいけないと思い、必死に返信をする。

 

『もしよければ詳しいくお話を聞かせて頂けませんか?』

『はい、こちら電話番号になります』


 電話番号を送られてきてちょっと興奮していた熱が下がった。

 僕は決して警察でもないのに易々と番号を渡しても大丈夫なのか?

 もしかしたら他人の番号の可能性もある。

 考えれば考えるほど雑念が生まれてくる、考えている暇があるならば行動に移せ!

 送られてきた電話番号に掛けて見ると、すぐに繋がった。


『もしもしDMしてくれた方であっていますか?』

『……はい。DMをさせて貰った柚子と言います』


 繋がった相手は女性だった、しかも声からして若い、僕と同年代か少し下の方だろう。

 そこから柚子さんとお話をして、一旦会うことになるまで話がスムーズに進んだ。

 通話を切り、フゥーと息を吐く。

 スマホを片手に僕はニュースを見る。


 「橘一家失踪事件。その関係者となると親戚か?」


 黒霧に連絡を取った方がいいか? いや辞めとこう。

 彼奴が関わるとややこしくなってしまう。とりあえず明日会うことになっているからそれ次第。

 ◇


「あのTUさんですか?」


 待ち合わせの場所であるカフェの近くに立っていると、声を掛けられた。

 声音が昨日通話した方だった。声の主の方に振り迎えると、首元まで長い黒髪に合った、フリルがついた黒のブラウスにスカート。


「はい僕がTUです。柚子さんですか?」

「はい柚子です」


 どうやら合流をできた、そのまま中に入り席へ着く。

 適当にメニューを頼み、来るまでの間、少し重たい沈黙が続く、お互いに言葉を掛けようとしても出てこない。

 どうしようと考えていた時、救いのように頼んだ品が届いた。

 コーヒーとパフェが来た、勿論僕がコーヒーで彼女がパフェ。

 一口飲み、言葉を紡ぐ。


「それではまずどうして僕に情報を渡そうと思ったんですか?」

「え、どうしてって……」


 邂逅一番に理由を聞かれたら困るだろう、でも教える道理がない。

 僕はただの一学生で探偵でもましては警察でもないのだ。

 情報は欲しい、でもそれ以上にちゃんとした理由を知りたい。

 少しの間、沈黙が続いた、観念したのか口を開いた。


「私は! 掲示板を見た時、他の人たちと同じで生半可の人だと思っていました。けど過去の投稿を見て、直感と言いますか、第六感で感じ取り連絡させて貰いました」


 真相を知りたい、彼女が言った言葉、全てが嘘偽りの可能性もあるだろう。

 だけど、少なくとも僕には本心のように感じ取れた。

 生半可の人たちか、確かに世の中そういう人たちはいっぱいいる。

 自分が知って満足して終わる人たち、多分、僕はそっち側の人間ではない。

 世の中に発信をしていきたい、バズリを目的する以前に真相見つけ発信していきたい。


「ありがとうございます。僕は今回起きている現象――事件の真相解明をしたいと考えています。かつては断念をしました。けど今回は逃げないです」

「それ意思表明ですか?」


 柚子さんはそう言いながら笑う、釣られて僕も笑ってしまった。

 

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