第2話 整理

 少し冷静に考えてみよう。

 樹鳴、それは突如として現れた、最初は一つの有名な掲示板からスタートした。

 常連の人や、よく滞在している民が面白半分で他のSNSに流したことで広まっていた。

 最初はただのホラー展開の話を掲示板に載せているのかと思った。

 蓋を開けてみると妙にリアル感があり、翌日には予兆の如く事件が発生。

 東京都に住む、十代後半の女子高生が突如として姿を眩ました。

 ただの失踪事件、そこまでの騒ぎにすることじゃない。

 と勝手に思い込んでいた。そしてここからが樹鳴の本領だったのかもしれない。

 失踪したと思われる高校の学年の半数が一気に行方不明になった。

 普通に考えれば何かしらの事件性があると思う。実際警察はその線で今回の件を追ったらしい。

 警察は必死に調べたり、学校の教師や、地域の大人たちと一緒に捜索をしたが見つかることも情報すらも見つからなかった。

 警察はある表明をした、今回の事件を未解決事件として終わらせた。

 

「改めて情報整理として思い出してみると色々と凄いな」


 まだ連絡は来てない、こっちも全然情報と云う情報を見つけれてないから助かる。

 警察が終了の表明を出すと、失踪した子たちの保護者は黙っていなかった。

 ネットでも賛否両論分かれたり、炎上すらしていたな。

 そんな中、掲示板が動き出し、盛り上がった。

 

 『樹海が鳴り響く時、その音を聞いた者は連れて行かれる』

 

 そんな投稿がされて色々な考察が飛んできた、それと同時に疑問すら生まれた。

 どうしてこの投稿者はそんなことを知っているのか?

 ただの自作のホラーだろうと一蹴する人もいた、僕もその一人だった。

 だけど、タイムリーな情報がネットに流れ込んできたんだ。

 動画形式で発表されたもの。


「私見たんです。突如、周りが霧に覆われると同時に樹海が現れたんです! するとどこからか変な音が聞こえ、音のする方に耳を傾けると樹海の方から聞こえたんです。どう説明すれば分からないんですけど……


 掲示板の投稿とあまりにもタイムリーな動画に、ネットは大騒ぎになり、掲示板の投稿者だろうと考察するものも出てきた。

 動画で言っている内容はあまりにもファンタジー過ぎて、誰も信じようとしない。

 そもそもとして問題なのが失踪事件、そのものが世間的な発表をされていない。

 全ては書き込み、中には信じる人もいた。

 公になってないならば炎上なんかしない、けどこれもまたタイムリーだった。

 酷似した事件がニュースとなり、関連性があると見られ炎上。

 そこから色んな体験談や話が飛んでくる。そして最終的には噂で集結した。

 16時15分に樹海が鳴き、聞いた者を連れて行く。ここから樹鳴の名前が浸透していったと云っても過言ではない。

 信憑性もない噂。それでも僕は怖気付き逃げた。

 最初は面白がっていたネットの人たちも困惑、恐怖に怯えたような反応になっていた。


「これは作り話、ただの噂に過ぎないと思っていたのにな」


 黒霧に見せられたネットニュースによって、一層現実のことだと認識された。

 あの場のノリでチャンネルを作ったのはいい。

 だが、実際は今すぐにでも辞めたいし逃げたいとも思っている。

 あの時、思った感情が嘘かと言われると違う。

 それでも妙な胸騒ぎがして仕方ない。この事件へと関わるな。

 体が拒絶反応を起こしていると云っても過言ではない。


「逃げの口実を作ってどうする!」


 そんなことを考えている暇があれば手を動かそう。

 と、ダメ元でかつて使っていた掲示板に書き込みをしてみる。

 

 『樹鳴について調べています。何か知っている情報があれば教えて欲しいです。真相解明の助力をしてくれると助かります』

 

 どうせ来ないだろうな……元々ダメ元だからいいけどね。

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