リレー小説「ただの高校生だった俺に許嫁ができたので、溺愛してきていた姉と妹と幼馴染を振り払って恋愛します!」

功琉偉 つばさ

第13話 みんな俺のことを溺愛しすぎ…

「は?」


 え? 嘘でしょ?

そのまま俺は玄関で倒れてしまった。


◇◆◇


 何やら女子の話し声が聞こえる。

その数は2…いや3人…いや4人?

 とりあえず状況を把握しよう。

ここは…ベッドの上か。

目を開けたりしないで女子の声が消えるのを待つ。

この声は多分柚珠姉とナナと凛…ユリの4人かな? 柚珠姉とナナと凛は分かるが、なぜユリの声も聞こえるんだ?

 ここで起きたら絶対に面倒なことになる。

俺は狸寝入りをしながら人物関係を整理してみた。


◇◆◇


(風見双葉:弟)♡?(五十嵐響輝)

(柚珠姉:姉)♡?(風見勇斗)

   ↓♡(確信)

   (俺         )♡(凛:許嫁)

   ↑♡?   ↑♡(確信)

(ユリ:幼馴染)、(ナナ:妹)


◇◆◇


 えっと…

まず勇斗さんが浮気しているっているのは柚珠姉の勘違いで、送られてきた写真は、   勇斗さんの双子の弟の双葉さんだったという。何が何でも似すぎだろ。

で、その人と一緒にいた人が響輝さんで…


『え?知らないの? ほら、あの厨二病みたいな人』


と柚珠姉に言われていた。

 凛からは、


『うっまうっま亭の五十嵐京さんの娘』


 ということは…まさか響輝さんって響・5!?

なんか声も似ているなぁって思ってたし…


で、双葉さんが


『あぁ、いつも遊んでるから顔も知ってるもんだと思ってたよ。』


 いつも遊んでる?声、声…

まさかyuto!? だとしたら、お兄さんのアカウントを乗っ取っていたりするのかな?

そうしたら辻褄が合うし…


◇◆◇


 そろそろ限界が近くなってきた。

特に柚珠姉がうるさすぎる。

俺は恐る恐る目を開けてみた。


「あっ!たっくん起きた!」

「匠、大丈夫ですか?」


 おっと一斉に詰めかけてきた。


「えっと…今何時?」


これしか言うことがなかった。


「今?いまは午前9時だよ。昨日たっくんが帰ってきた後に熱を出してそのまま倒れたんだよ。お姉ちゃんすごく心配したんだからね。」


おいおい熱出して倒れている人の部屋で騒ぐなよ。


「それで、凛ちゃんとと柚珠さんとナナちゃんでたぁくんを運ぼうとしたけど、無理だったから私が呼ばれたってわけ。」


とユリが続けた。


「それはどうも。」


「やっぱりイルカショーで濡れたことが原因だったのでしょうか。すみません」


「いやいや謝らなくていいよ。それより…柚珠姉は響輝さんと双葉さんが僕のネッ友だって言うこと知ってたの?」


「あら。やっと気づいた? 私、勇斗から全部聞いてたんだよ。さっすが私の勇斗。愛する弟のこともしっかりと教えてくれるんだから。」


昨日の浮気されたって言ってたのはどうしたんだ?一瞬で手のひらを返しやがって。


「そういえば『勇斗さんに浮気された〜』とか言っていたけど、双葉さんと響輝さんの写真は誰からもらったの?」


「えっ? それは…」


「はいはい! 私で〜す」


ナナが勢いよく手を上げてきた。


「あのね。なんか、昨日匠兄と凛姉が家を出ていった後をついて行ったの。私匠兄のスマホにGPS追跡装置いて入れているから。それで、頑張って一人でついて行って駅についたら、勇斗さんらしき人がいて、それで写真を撮っちゃったってわけ。」


うん。そうか。ってなるか! サラッとすごいパワーワード出してきたな。


「GPS!? いつそんなの仕込んだ?」


「だって匠兄がどこにいるか気になるんだもん。」


ストーカーか?


「いや。どうやってGPSなんてつけたんだ?」


「匠兄が寝ているときにこっそり指紋認証でロック解除して、位置情報共有アプリっていうやつがあるからそれに登録して、私と私とつなげておいてアイコンをバレないように変えておいたの。中に入って設定をいじるのにもロックを掛けて、もしパスワード入力が○INEのと同じだったらそのまま○INEに飛ぶようにしておいたんだ。」


「えっ…なぁナナそれは流石に…」


俺が話そうとしているときに


「ナナちょっと待って」


と柚珠姉が割り込んできた。


「なんで私にも教えてくれなかったの? たっくんの位置情報知りたいに決まっているんじゃない。」


おお〜い。柚珠姉さま?論点そこじゃないですよ?


「だって匠兄は私のものだもん。」


「いえ。匠は私の許嫁なんで私のものです。」


凛さ〜ん。あなたも論点がずれてますよ〜そこで争わなくていいですからね〜


「いや。たぁくんは私のものよ。だって幼馴染で小さい頃からずっと一緒にいるんだから。柚珠姉さんよりは長くいないけど…それでも柚珠姉さんは勇斗さんっていう彼氏がいるでしょ。」


「うっ。彼氏も弟もどっちも私のものなの。」


もう勘弁してくれ。俺は俺のものだ。4人が争っているので俺はこっそりと部屋を出た。


「もう。許嫁の凛がいるんだから…柚珠姉もナナもユリも…そんな争わなくていいのに。みんな俺のことを溺愛しすぎ。あの3人には恋愛感情なんて生まれないんだから…普通に恋愛させてくれ…」


俺はGPSがつけられたスマホを仕方なく持ちながら響・5に電話をかけようと家を出た。





◇◆◇




目次


https://kakuyomu.jp/works/16818093077140311125

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