第5話 次のステップへ
先ほど意気揚々と腕を振って歩くというこの体の年齢らしい行動をとったことで、周りからの視線により羞恥心でうずくまってから少し経った時、突然目の前に配信画面が出てきたのだった...
□
突然何もない空間に集められた私たちは上空の映像に映り椅子に座っている一人の男を発見する。
「こんにちはプレイヤー諸君、私はバルス製作者の桜守(さくらまもる)だ。」
その発言に周囲のプレイヤーがざわつく。
「ゲーム開始から一日経った今、チュートリアルを終了とし次のステップへ移行する。」
次の瞬間私の体が突然光目をつぶる。
ようやく目が開けれるようになり体を見るが何かがそこまで変わった様子は無いことに不思議に思っていると周りのプレイヤー達が騒ぎ出す。周りを見てみると服装などは変わってないものの見慣れた感じの顔のキャラになっている。
これは...リアルモジュール?
突然のことに阿鼻叫喚のプレイヤー達。
「すでにオプション画面にログアウトが無いことを知っていると思うが、このゲームの任意ログアウトはできない使用になっている。」
その一言で騒いでいたプレイヤー達が静まり返る。
「新たに天命という要素を追加した。すでにこの世界での戦闘をしたプレイヤーならわかっていると思うが一度死ぬと天命を1失い、すべて失った場合はキャラが破壊される、そしてこれから始まるバルスでのキャラは”君たち自身”だ。全プレイヤー500万人に明日会えることを期待している。」
そう男が言い終わると視界が真っ暗になり『強制ログアウトされました』というテロップが出てくる。その下には『明日の14時~16時までにバルスへのログインが確認されない場合脳に組み込まれた特殊な電磁波により死にますのでご注意ください。
プレイヤーの皆様のため、このゲームは一日ずつ現実世界での休憩を繰り返しながら進みます。』
という文章が書いてあった。
特殊な電磁波で死ぬ...何を言っているんだろう?
あまりに現実味を帯びない文章に苦笑する。
テロップが消えた後ゆっくり目を開けるとゴーグル越しに見慣れた天井が見えたことで、帰ってこれた...とゴーグルを外しながら安堵し、不思議と何のだるさもない体を起こしながらベッドから出る。
部屋の隅に置いたはずのギアが無くなっていることに気づく、どうせ私がゲームを起動している間に取ったのだろう。
風邪にかかっていたというのに、依存しすぎじゃないだろうか...?
ため息を吐きつつ机に置いた携帯を見ると、ホーム画面の日付は昨日から一日進んでおり24時間ゲームの世界にいたことを実感する。
「とりあえず、ご飯とお風呂かな...」
別に汗などで服がべたついているわけじゃ無いのだが、気分的には入っておきたい...そう思い、まずご飯の用意をするためリビングへ向かうためドアに手をかける。
どうせ兄も『バルス』から解放されたところだろう、あの兄のことだからもっとやらせてくれと喚いているかもしれない、クスリと笑いながら開放的な気分で部屋を出たのだった。
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