第4話 オープンサーバーへ

俺は『朱莉(あかり)の部屋』という看板が掲げられている扉を勢いよく開ける。

朱莉は昨日見た時と同じ服のまま、ゴーグルのようなギアをつけてベッドの上で寝ていた。


「はぁ...はぁ...ふぅ、やっぱりかぁ...」


朱莉に近づいてギアが正常に作動していることを見ると少し安堵したように息を吐く。

フルダイブ型のゲームには以前ゲーム側の誤作動の起こったまま強制ログアウトをした時ギアの調子が悪くなり実際の体、脳への大きなダメージが起こった例がある。それによりフルダイブ型のゲームは一度無くなるかと思われたが、不具合やバグなどを厳重に調査したゲームを大手会社が出すことによって安全性が保たれフルダイブは世界に浸透していった。だからこそVRMMOの覇権を握っていた会社が出す「バルス」は注目されていたわけだが...

もしかすると今回のログアウトができないのは運営がゲームの不具合を見つけたことによる、メンテナンスまでの時間稼ぎなのかもしれない。もしそうだとしたら運営側の動きに間違いはない、とはいえこのままの状態が続けば朱莉の体が心配だ。


「頼むから早く治ってくれよ...」


先ほどまで少し他人事のような気がしていたのだが、実際にそれを見ると不安がとても大きくなる。もう少し詳しい情報を集めてみようと妹の部屋の隅に置いてある俺のギアを取りリビングへと戻ったのだった...



「久しぶりに食べたなぁ...」


カップ麺を食べた俺はソファーに寝転がって一息つき、ギアを頭につけるが...

ギアがでかい...もっと調節できるようにしてくれよぉ!

もうすぐ2時になることから朱莉はすでに約24時間寝ているような状態になっている。とりあえず俺は、この状態をどうするかという問題の解決方法やゲームについての詳しい情報を集めるため、人との交流や情報を集めるのに適したオープンサーバーにギアでアクセスすることにしたのだ。


「アカウントを選んでください。」


いつものアカウントでログインしようとするが入れない。


ん...あれ?

あぁ、この体のせいか...

体をスキャンできるこのギアは、生体認証をつかってアカウントを開くことができるためこの体では俺が使っていたアカウントは使えないのだ。

仕方なくゲストでログインを開始し、いろいろな項目をスキップしてすぐにオープンサーバーへinする。


ボイスチャット機能が備わっているこのオープンサーバーでは交流が盛んに行われていることで最新の情報や噂、いろいろな情報が数多く集められているのだ。


『VRMMO「バルス」について』

という部屋を発見し、そこへテレポートで飛んでいく。

昨日の今日ということもあり人の数が多く、これなら欲しい情報が集まるかもしれないと期待を胸に意気揚々と腕を振って歩き、人へ話しかけようと周りを見たところで異変に気付く。


な、なんか視線が集まりすぎじゃないか?


俺の後ろにだれかいるのだろうかと振り向くが誰もいない。

な、なんでこんなに見られt.....ああああああああああああああああああああああああ

ようやく今の自分の姿を思い出し顔を赤くしてその場でうずくまる。

いつも通り俺のキャラで入ったとばかり思っていたのだが、ゲストでログインした上キャラクリもすべて飛ばしたことに今更気づく。


そりゃ銀髪の幼女がこんなところにいたら変な目で見られるわ!!!!


「あぅぅ...」


天使のような銀髪の幼女が突然顔を赤くしてうずくまり嗚咽を出している様子に周りは不思議に思いつつも微笑ましく見ており、先ほどまで少しピリピリしていた空気を

消し飛ばしたのだが、羞恥心でいっぱいになっている幼女にとっては知る由もなかった。











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