第弐幕 五
「茜ちゃん」
うちの名前が呼ばれた。
いや、うちではないわ。血を分かち、愛を注ぎ、育ててきた娘のほうよ。残念ながら、愛されず、薬物に洗脳されてしまった、田島茜ではない……。
「小学校から誘拐されたのよね」
「休み時間に姿を消してしまったらしい。学校中を探したけど、行方知れずのままだ」
出勤してきたばかりのピエールの顔には生気がなかった。瞳は落ち窪み、肌はかさつき、頬からあごにかけては無精髭が生え揃っている。いつもの陽気さは……ない。
「妖頭會の仕業かしら」
「間違いないだろう。こいつが家のポストに入っていたんだ」
ピエールはポケットに手を突っ込むと、しわくちゃの紙片を取り出す。涙と鼻水で紙は湿っていた。それは新聞の文字を切り抜いて作られた脅迫文で、不揃いなゴシック体と明朝体がばらばらに入り乱れており、感情を去勢したかのようなシステマチックさがあった。
『酒之助を誘拐した。あいつは我々を知りすぎた。押収した酒を全て返せ、さもなくば、お前の可愛い茜ちゃんは壊れていく』
ピエールの手には見慣れたものがあった。庁舎内のトイレや自宅のベッドで人差し指と親指で細いシリンジを握りしめ、針の先端を弾いて空気を飛ばし、傷が癒えていない血管にねじ込むようにして突き刺す……ああ、注射器!
ついに、うちがシャブをやっているとバレてしまったのかと思った。びくんと肩を震わせて、身構える。が、ポストに入っていたという言葉を反芻し、安堵した。まだ、ピエールは知らないはず。
「中身は覚せい剤だよ。妖頭會は茜ちゃんにこれを注射し、愛すべき人格を破壊しようとしているらしい」
「課長、それはあまりにもひどいわ」
どのくらい残酷で、
どのくらい極悪で、
どのくらい取り返しがつかないのか、よく知っている。
大人でさえ、拒否できない。判断能力に乏しい子どもにそれを強いるのは考えたくもない。
「覚せい剤だもんね。依存性が高く、薬物の王様だ。体に入ったら、最後、健康は永遠に破壊されてしまう」
破壊されていないほうの茜は浦(うら)島(しま)茜(あかね)で、
破壊されているほうの茜は田島茜。
間違えてはならない。
うちは壊れた田島茜。
「本省とも話をしたんだが、押収した酒を開放してはいけないとの命令だ。テロリストには屈服しない。まずは、交渉の窓口を作り粘り強く対応せよとのことだ」
「茜ちゃんは見殺しなの?」
「本省の意向なんだ。従うしかない」
ピエールはきっぱりと切り離すようにして断言をする。
嘘でしょう! 茜ちゃんを救わないなんて、どうかしている。
「課長、あなたそれでも人の親なの! 覚せい剤はダメよ。死んじゃうわ。死んじゃったほうが幸せ。茜を壊さないで」
「でも、本省が」
霞ヶ関にででんと建つ、本省を思い浮かべる。権威と権力の象徴。激務の不夜城。
「本省がなによ。横っ面をひっぱたいてやればいいじゃない。デスクに座って、理論をこねくりまわしていても、何も解決しないのよ」
「田島くーん。目が本気になっているよ。ああ、先端をこっちに向けないで、ピエールは……恐怖症なんだ」
ピエールは顔を両手で覆い隠して、いやいやする。
ほらね、こうやっていつも逃げるの。舌の根に残るような嫌な苦みを感じるけれども、うちはそんなピエールが好き。
むず痒く、棘だらけの球体が心の中で転がる。この言い表せない感情を日本語の体系に照らし合わせるのは難しいわ。
「いざとなったら、酒類取締官は辞めてやればいいのよ」
「でも、お給料が入らなくなるんだ。どうやって、食べていけばいいんだ」
「あなたのごはんなんてどうでもいいだろーが! 食べさせて、分け与える。それが親ってものでしょう。目を覚ませ、人間の思考を取り戻せ、浦島ピエール!」奥歯をぐっと噛んで、唇を尖らせ、怒鳴りつける。うちと課長ではなく、うちとピエールのときに使うような激しい感情の起伏を押し出す。
「でも、田島くーんには子どもはいないじゃないか」
「誰のせいだと思っているのよ!」
こいつううう! 逆鱗に触れやがった。うちだって、子どもがほしいの。けれどさあ、どこかの誰かさんは毎回、きちんと避妊具をつけるじゃない。田島くーんの体を大切にしたいからなんて言っているけれど、本当はうちの妊娠に怯えているだけなのよね。
責任は取りたくないんでしょ。ああ、もう!
うちだけを愛してくれる人を探せばいい。分かっているわよ。でも、ピエールがいいの。好きになるのが奥さんよりも少し遅れただけじゃない。それなのに、どうして埋められないほどの莫大な差になるのよ。
逆風がごうごうと耳のすぐそばで音を立てているのが分かる。
う、受け止めよう。平常運転。理不尽で、不平等で、不誠実なのが、世の中。格好つけて平等を気取ろうとする輩は多いけれど、平等性は手の届くところに降りてこない。
ならば、それを分かった上で振る舞う。
「ごめんね」
「何に対して謝っているわけ?」
「茜に」
「茜ちゃん?」
「違うよ、田島茜に」
自分が逆鱗に触れたことも、優しさの衣を纏ったなまくらの刀を突きつけていることも、愛しているという言葉をべちゃべちゃと汚らしく使うことも、月の裏側から細胞の内側まで、何もかも分かっていない。
ピエールは機嫌を伺うように、うちを見ている。
この目、嫌いだわ。
「鳩貝警視正に相談してみましょう」
「ああ、そうだね。これはもう酒類取締課だけの問題じゃない。えっと……電話番号は……」ピエールはデスクの引きだしを開けて、名刺をがさごそと探し始めた。
鳩貝の携帯電話に連絡を入れると、酒類取締課が入る建物から一番近い庁舎に来るように指示があった。経費節減のためにカラーリングを施していない軽自動車に乗り込み、シートベルトを締める。
ピエールは「なんて、狭いんだ!」と呻きながら運転席に収まると、アクセルを踏んだ。強引な加速と、荒っぽいハンドル捌きと、赤信号の度に急ブレーキをかけるものだから、ドライブデートは遠慮しているわ。まあ、うちがハンドルを握ってもいいのだけどね、赤と幻覚の赤の区別が付かないから……。
「鳩貝さんはよく知らないんだけど、何者なの?」
「普通の警察官だよ」
「いや、普通じゃないでしょ」ピエールはあの癖の強さと観察眼を普通と呼ぶのね。
「警察庁の人だよ、確か、警察庁警備局警備企画課組織犯罪対策室第三係」
うちはピエールに渡された鳩貝の名刺に視線を落とす。
鳩貝左右衛門ですって、令和の世では少し考えられない名前だわ。
「警備企画課って公安じゃなかったかしら」
「そうだね。普段は、はとぽっぽって呼ばれているみたいだよ」
「はとぽっぽ? 冗談はやめて、あの顔を見たら笑っちゃうわ」
「絶対に笑っちゃダメだよ。彼はうちの上に顔が利くんだから」係長になっちゃうよう……という弱々しい台詞が漏れる。
タイヤが一般道をがらごろと転がり、東京二十三区内にある警察庁分庁舎の駐車場へと入った。車を降りて、建物に入り、一階の案内で用件を話すと、少し待つように言われる。
ピエールと他愛もない話をして時間を潰していると、石を金属で打ち付けたような刺々しい音が規則正しく聞こえた。
「こんにちは」冷たく、澄み渡る声がする。
視線をやると、女性の警察官が立っていた。
くっきりとした目鼻立ちで、なかなかの美人さん。
額に日章を象ったお椀型の帽子を被り、背後から肩口まで伸びた髪はひとつに結われている。模範的な警察官の例に漏れず、冬用の官服に身を包み、上から下までぴっちりと金色のボタンをはめていた。優雅なトリニティノットに結われた黒いネクタイは、均等に三等分の領域が作られている。胸元の階級章からは未だ巡査だと分かるけれど、新しさとは別の輝きがあるわね。几帳面に毎日磨いているのかしら。
折り目正しい警察官に映るけれど、髪色は金なのが少し気になる。
まあ、そういうお年頃なのかもね。
「初めまして。鳩貝警視正はおりますか?」
ピエールは淀みなく挨拶をして、頭を下げる。
「酒類取締課の方ですね。鳩貝から聞き及んでおります。こちらでございます」
彼女は一礼すると、踵を返して歩き出す。うちとピエールは後ろをついていく。
通された部屋は会議室だった。中央に机と椅子が置かれていて、窓にはブラインドが降りている。真っ白な光を放つ蛍光灯に、うちは目をしぱしぱと瞬かせた。ぐるりと、軽いめまいがするわ。透明な狂気の液体が入ったアンプルが恋しくなる。
鳩貝は足を組んで、パイプ椅子に腰掛けていた。手元には、湯飲み茶碗が置かれている。
「何かあったら、大声で叫んでください」彼女はさも当然とばかりに言った。
「叫ぶ?」
「ええ、お尻なんか気をつけてくださいね。すぐに、警察が来ますから」女性警察官は表情を変えずにそう言うと、敬礼をして部屋を出て行った。
「ああん?」パイプ椅子に腰掛けた鳩貝は三白眼をぎろりと上に向けて、うちとピエールを睨み付けた。
いや、睨んでいるというのは語弊があるかもしれないわ。彼の垂れ下がったまぶたは眼瞼下垂であり、加齢によるもの。きっと、それだけ苦労して生きてきたという証しなのよ。と、心の中でフォローをしておく、なんせ、上との繋がりがあるんですもの。
とりあえず、うちらも鳩貝の正面に置かれたパイプ椅子に腰掛けた。
「誘拐だとオ? 迷子じゃねえのか? 俺よりも交番の連中に頼んで、防災無線で呼びかけたほうがいいんじゃねえの?」
口は相変わらず悪いわね……。
「鳩貝警視正殿、脅迫状が入っていたんですよ」ピエールが例の脅迫状を鳩貝の手に押しつけながら言った。
「いや、警視正の仕事じゃねえだろ」
「そこをなんとか! ピエールと警視正の仲ではありませんか」
「俺の友人に豚なんていたかなあ」
「豚じゃないよー。人間扱いしてよー」
しぶしぶといった具合で脅迫状を受け取ると、鳩貝は文面を読み進める。左のまぶたが神経質そうに痙攣を繰り返している。
「素手で触ったのか。素人め。犯人の指紋を割り出すのに邪魔になるだろう」鳩貝はしっかりと薄いゴム手袋をはめている。仕事じゃないと言いつつ、しっかりと準備はしていたらしい。意外とマメなのね。
「動転しておりましてなあ。つい、うっかり」
「うっかりじゃねえよ。ピエール。だから、お前は本省の課長に出世できないんだぞ。上の連中はそういう細かいところを見ている。人間の能力はどいつもこいつもそんなに変わらねえんだ。とび抜けた才能っていうのは、日々の小さな努力の積み重ねによって生まれてくる。ピエールは足りねえんだよ」
「うう、精進いたします」ピエールは縮こまって、うなだれている。が、体がでかいので、小さくはなっていない。
「ふん、しっかし、ずいぶんと古典的なやり口だなあ」
「そうよね。新聞の文字を切り貼りするのは、筆跡を誤魔化すためでしょうし、今ならパソコンでささっと作ったほうが、自然よね」
「ああ、嬢ちゃんもいたのか、ピエールがデカくて気づかなかったぜ」
いたのか、って何よ。
女性蔑視なのは相変わらずなのね。だから、奥さんにも逃げられるのよ。ふふん、言い負かされないように、プロフィールを徹底的に調べてきたのだが、口には出さない。
「うーん、顔色が悪いなあ。ちゃんと、飯を食っているか? 生理は来ているか?」
デリカシーとは? 生理の有無なんて、おじさんに報告する義務はないでしょ。
「ご心配なく、うちは健康体そのものよ」
「そうとは思えないがなあ。うちには相談員もいるから、相談してみっか? 安心しろ。すぐに逮捕にはならねえよ」
「な、何を言っているのよ。相談ってどういうことよ」つと、精神のひだを逆撫でするような怖じ気が背中をなぞる。完全に見抜かれている。うちが薬物に依存していることを看破しているじゃない!
「まあ、今はそれどころじゃねえみたいだからな。また、今度ってえところか、現行犯は気分がわりいだろ?」
「…………」
「田島くーん。どうかしたの?」
「別に……」
「さて、この脅迫状だが、犯人の特徴がしっかりと現れている」鳩貝は脅迫状のしわを伸ばすようにして、ぴんと紙を張った。
「特徴ですか?」
「いかにも。切り抜かれた文字のひとつ、ひとつを見てみろ。大手全国紙の新聞を使い分けている」
「文字を見ただけで分かるの?」
「古典的って言っただろう。真似する輩が多いのよ。だから、現場で何回も見せられて覚えちまった」
うちは目を細めて、文章のカリグラフィをしっかりと観察する。確かに違いはあるのだが、これは○○新聞のゴシック体で、主に中見出しに使われているといった詳細な判別はできない。
「切り抜きかたもかなり丁寧だぜ。余白を残さんように定規を使ってビシッとやっとる。雑な脅迫文はハサミでちょちょいのちょいって切っているものが多いが、これはカッターナイフを使っているな」
「何事もちゃんとやらなければ気が済まないという性格ですかなあ」ピエールが犯人の性格を予想してみせる。
「だろうよ。おまけに、縁を見てみろ。剥がれる気配がねえ。うちの事務屋のねえちゃんに言わせると、糊づけは難しいんだ」
「糊づけですか……」ピエールはふへっと小馬鹿にしたように笑う。
「おいおい、バカにするなよ。縁までしっかり塗るのは大変なんだぜ。それこそ、指の腹でも使って丁寧に塗ってやらないと、剥がれに繋がる」
「指の腹ってことは指紋が付いているかもしれないわ」
「ふふん。嬢ちゃん、良い気づきだ。飴ちゃんをやろう。手袋をしたまま糊づけをするのは現実的じゃないからな。スティック糊も剥がれやすくて、指で押さえたりするんだ。ひゐひひひ、こりゃあ、どんなタマが出るか楽しみだ」
鑑識、鑑識はいるかーと叫びながら、鳩貝はどかどかと足音を立てて会議室から飛び出していく。好奇心あふれる少年っぽい一面を持ち合わせていることは意外ね。
「茜ちゃーんは早く見つかりそうだね。ああ、警視正の友だちで良かったー」向こうは豚としか認識していないことを、ピエールは早くも忘れている。
簡易検査によって、指紋はすぐに検出された。
「ピエールの指紋と嬢ちゃんの指紋がべったり付いているなあ。こりゃあ、どちらかが犯人だぜえ」
「冗談はよして。女の子が誘拐されているのよ」
「余裕は大事だろうが。ここで一服してから、もう一つの指紋に言及しようと思ったが、禁煙だし、先に進めるとするか」鳩貝がげふんと咳払いをする。
「ほら、ここに注目してみろ。指が集中して押し当てられている。俺の見立て通り、素手で糊づけをしたらしいな」
「本当ね、紙片の縁に沿って、指紋が広がっているわ」
「このくらいの大きさだと、女か餓鬼だな。おっと、出たか。早いな」
先ほどの女性警察官から書類を受け取ると、鳩貝は文面をのぞき込む。
ふと、彼女の視線がピエールに注がれているのに気づく。どのくらい食べたら、こんな体型になるのだろうか。などと、考えているに違いない。うちもよく考えるし。
「割れた。見立て通り、女だ」
うちとピエールも、鳩貝が手にしている書類に視線を落とした。
「かなり手の焼ける人間らしいな」
「と言いますと?」ピエールが体を乗り出して訊ねる。
「口は悪く、喧嘩早くて、すぐに暴力を振るう。公務執行妨害で何度か逮捕をしているんだが、凝りてないらしい。なんでも、武術の有段者らしくてなあ。身のこなしも素早い」
「名前はなんていうのかしら?」
「白鐘ぎんこっていうんだ。通称、銀狐。なんでも、界隈では著名な家柄らしい」
「ぎ、銀狐?」呼吸が乱れる。あの銀狐の名前がここで出てくるとは思わなかった。
「なんだ? 知り合いなのか」鳩貝の目が興味深そうにうちの顔へと向く。
「一度、ドンパチをやったのよ。横浜港で」
「米軍がもみ消したって、お前らが騒いでいたやつか」
「警察は何も動いてくれなかったのは忘れないわよ」鳩貝を思いっきり睨んでやる。
「高度に政治的な問題には口を挟めないからなあ。日本側には、『エメラルド・クリスティーナ』号では何もなかったという報告しかないんだ。それに、早く忘れたほうがいいぜ」
「ふむ、警視正殿もそう思いますか」
「そりゃあな。あんまり、ぐちぐち言っていると、口を封じにやってくる。国家にかかれば、人を一人消すことなんて、そう難しいことじゃないからな。まあ、欧米さんは優しいからあんまり無茶なことはやらねえと思うが」
真相を暴くことがなによりも大切だと思う。そうしないと、弱い者は救われない。
「まあまあ、米軍なんて許すまじ! という気概は分かるよ。俺も煮え湯を飲まされてきたからなあ。だが、世の中には仕方ねえこともあるんだ。ええっと、女の住所が割れたな。行ってみっか」
「警視正殿も来て頂けるのですか?」
「俺は行かねえよ。現場は嫌いでね。若いのをやるから、そいつと行ってくれ。日程を調整しよう」
ったくよう、世話が焼けるぜぇと言いながら、鳩貝は煙草とライターを取り出す。「禁煙ですよ」と女性警察官が口を挟むと、舌打ちと共に火を付けるのをやめた。
「警視正殿、そんなに待てないですよ。このまま、我々はすぐに乗り込みます。部下と娘の命がかかっているのであります」
「こちらにも連絡、調整ってえもんがある。じゃあ、あんたらだけで行くか? 逮捕もできるし、銃もぶっ放せるんだろ? 警察無線を貸してやるから、困ったら応援でも呼べばいい」
「そうよね、うちらで乗り込んでみましょう」うちの言葉に、鳩貝はぐぐっとまぶたを引き上げ、「嬢ちゃん、注意しろよ、死にたくねえだろ」と言った。右手の人差し指と中指をひっつけ、肘のあたりを軽く叩く。
注射を打ちすぎて死ぬなよってことか……。
返す言葉は、ないわね……。
「ところで、これってなんかの形に見えないか?」
鳩貝はプラスチックバッグの中に封入された脅迫状をぴろぴろと揺らしながら言った。
「形ですか。うーん、普通の文章の塊に見えますが……」ピエールは右手の人差し指で、金髪が薄くなった頭皮の部分を掻く。
「ほら、遠ざけてみると分かりやすいと思うぜ」鳩貝は脅迫状を持ったまま、一歩、二歩と後ずさった。
新聞紙を刻んで作られた文章の塊は、その不明瞭な輪郭を出現させた。
♠。
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