第7話 今日の朝はなんか騒がしい

 啓介けいすけは朝、学校に登校していた。


 学校の校門前が妙に騒がしい。


 その周辺では、生徒会役員らが中心となって身だしなみ検査をしているようだ。


 そう言えば、今日はその日だったか……。


 急に怠くなってきた。


 啓介は背負っていたリュックを手に中身を確認してみる。

 そこまで見られてヤバいと思われているものは入っていなかった。


 多分、問題はないと思い、堂々と校門前まで歩く。

 すると――


「ちょっと待って」


 とある生徒会役員の女の子から厳しい口調で呼び止められる。


 声をかけられるまでは想定内だ。


 その子が啓介の近くまで歩み寄ってくる。


 彼女は高校二年生の副生徒会長である、泉谷玲美いずみや/れみ

 水色のシュシュのようなもので長い髪を結び、ポニーテイル風のヘアスタイルにしているのが特徴的だった。


「あのさ」


 玲美から強気な姿勢を向けられる。


「俺、今日は何も変なモノは持ってきてないから」

「そういう事は、普段は変なモノを持ってきてるの?」

「そうじゃないけど」

「まあ、いいわ。あなたは問題なさそうね」

「じゃ、じゃあ、もう行ってもいいよね……」


 玲美は鋭い目つきで、啓介の事を睨んでいる。


「ど、どうしたの? まだ何かあるの?」

「どうしたのって、そう言えば聞きたいことがあるんだけど、あなたって付き合ってる人いるの?」


 彼女から尋問されているような形となった。


「い、いるよ」

「え?」


 玲美は最初きょとんとしていたが、みるみる内に頬を紅潮させていく。


「あ、あなたが? あなたにそんな人がいるの?」

「いるけど」

「そ、そんなこと。あ、ありえないわね」

「でも、君には関係ないと思うけど」

「い、一応あるわ」

「でも、俺、早く教室に行きたいから。身だしなみに関しては問題ないんだよね?」

「そ、そうね……」


 そう呟き、彼女は手にしているノートに記入しているようだった。


「い、行ってもいいわ」


 副生徒会長の玲美は、啓介の方をチラッと睨むように見やると、ぶっきら棒な口調で立ち去って行くのだった。

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