第43話 戸惑いな妹だけど、どうしよう……
「はぁ……」
自己嫌悪。
寝ないまま、私は逃げ出すようにしどーさんの家を後にした土曜日の朝。
あざみ野駅に着くと、両親が車で迎えてくれた。
姉ぇが朝に居ないことに気づき、連絡してくれたらしい。
貸しが出来てしまった。
貸ししかない気もするが……さておき、
「気持ちよかったのは確か……」
自分の部屋。
手が伸びそうになる自身を抑えながら、思い出す。
自分が自分でなくなっているような感覚と快楽で身震いする。
怖い。
だけど、同時に蜂蜜のようなドロっとした甘く、ねばついた快楽を抑えきれない。
……凄かった。
いつも何事にも余裕を見せる姉ぇが男にすがり付き、涙をこぼしながら叫ぶように求めていた。
そしてしどーさんのを思い返し、自分のにもあんなに大きなものが入るのだと認識し、
「ご、ごごり」
生唾を飲んでしまう。
もし、自分の中に……っと思うと、お腹の奥が熱くなる感じがある。
しどーさんには悪いが、使わせてもらい、マッサージ器で倒れるまでしてしまった事実も自己嫌悪に陥る原因だ。
……気持ちよかった。
「やばい、やばい、やばい」
頬が赤くなっているのが判る。
熱っぽい。
まるで風邪のようだ。
しどーさん自体は悪い人ではないと思うが、好みではない。
証拠に浮かぶは下だけだ。
顔は浮かばない。
「うう……」
姉ぇの事が笑えない気がしてきた。
両親が速すぎる結婚で苦労をしてきているのを見ているため、自分は真面目にしっかりと計画を立てるタイプの性格になった。
というのに、性根はあのビッチの姉ぇと一緒だということに気づき、嫌気がさす。
自分も女なのだというのが嫌でもわかる。
真面目にしてきてこれだ……。
「はぁああああ」
「娘よ、何を悩んでいるのかい?」
「憂鬱はよくないわよー、パパママなんかはいつだってハッピーライフよー?」
朝御飯の中、のんきなパパママが話しかけてきた。
二人とも珍しく、家に居る。
いや、心配してくれて仕事を外してくれたまであるから、申し訳なくなる。
「ママが居ればハッピーだからね?」
「パパが居ればハッピーなのよー」
「ママ……」
「パパ……」
出汁にされただけな気がした。
こんな風に小さい頃からラブラブ振りを見せつけられている。
弟か妹が出来ないのが不思議なくらいだ。
さておき、
「姉の情事を観てしまって、ちょっと色々……刺激が凄くて……」
「パパ、そういう話は聞きたくない!
相手をぶち殺したくなるけど、娘が幸せそうなら許しちゃうから!」
何故ならば、っとパパがかっこつけるポーズをしながら、
「パパがママのお父さんに倉で見られて、殴り殺されそうになったのが今でもトラウマだからだ!」
「パパ、なさけなーい。
でも好き好きー!」
「未だに復縁してないから、相当根が深いのは判るんですけどね」
パパが私の言葉に「まいったなー」と笑う。
褒めてないのだが。
お爺さんにあたる人は生きているらしいが会ったことが無い。
母親の姉という人物は偶に見かけるが、何というか真面目っぽい。
「でも、ちゃんと娘育ててるからセーフ!
不自由はさせてないだろ?」
事実だ。
この親何だかんだ、二人を高校に行かせている。
お小遣い自体は無いが、私は塾も行かせてもらえている。
姉ぇは遊ぶためと本人の趣味もあって、ああ成ったが。
「親の責任なんて、子供に対してきっちり取れればいいのさ!
恋人の責任はママを幸せにすることだが、ママどうだい?」
「ふふふー。
私は幸せよー、忙しいけど、ちゃんと毎日ラブラブですしー」
「ママ……」
「パパ……」
暑い。
夏のせいだけじゃないだろう。
ゲンナリする。
私も一人暮らししたい気持ちが沸く。
いや、姉ぇは同棲か……高校生で同棲、何とも数奇な運命を辿っている気がする。
「パパ、私が恋人出来て、その……」
「恋人が出来ただとぉ⁈」
「いや、まだ」
「パパ、落ち着いて?
そういうパパはいけないパパだと思うの」
「ぇっと、その、エッチな事しちゃうのは普通の事だと思うんだけど、その、自分の満足の為だけにしちゃうのはどうなのかなって……」
「お姉ちゃんの昔の話か……。
保護者としては無しと怒りたい所なんだが。
親として確かに不甲斐ない部分もあるから認めざる得ないというのもあるし……」
パパがママを観る。
「うーん、ノーコメントで」
「ふふー」
「エッチから始まる関係もあるってことだ……。
さておき、そういったことをするなら、自分でちゃんと責任を取ることだ。
冷たいと思うが、一人の人間としての行いだからだ。
ちゃんと自身を責任を取る、そういったことをちゃんと学んでほしいからだ」
「と、パパ自身の経験よねー」
「ママに嵌められた訳でもあるのだが……」
「ママははめられる方よ?」
何があったんだ、このパパママは。
「人間というのは欲望の動物というわけなのよー。
それを理性でも抑えきれないこともあるのよ。
こんなママはパパは嫌い?」
「いーや、パパはそんなママも好きだよ?」
「パパ……大好き♥️」
イチャイチャを始めたので、退散する。
何だかんだ、パパママのやりとりを見ていて落ち着いた。
塾に行く時間も近い。
準備をして出ていくことにした。
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