第4話数学的観測戦況

「今回この実習訓練を行うが、その監修をさせてもらう「アリンデス・ミル」だ。よろしく頼む。」

何人だよ。こんな変な名前初めて聞いたぞ?

俺はなんだかめんどくさくなって手元にある戦況レポートを確認した。

一つの数学用語の羅列を見た。なんだこれ?

おかしいな、この世界に数式用語は存在していない。実際、数式の話をヨル師匠に話したところなんでそんな言葉を知っているんだ?どこで覚えた?と軽く説教を食らった。

・カオス理論

・アレフゼロ

・アルキメデスの螺旋

・クロネッカー青春の夢

・神託機械(オラクルマシン)

「まず教えるのは、戦況で相手のバグどもに戦略を伝えないための隠語を習ってもらう。この隠語を教えるのはお前らのような訓練生と私たちの超越士だけだ。」

「まず一つ目相手側にとって不利な状況。つまりはこちら側が有利な状況のことを[

tan]タンジェントと呼ぶ。」

お、ここでも数学用語が出てくるのか。これは面白い訓練になりそうだ。

「そして相手側が有利、こちらが不利な状況をエデンの園の配置。相手の戦略がこちら側を上回っているときによく使われる言葉だ。」

「そして手元のレポートを見てくれ。この単語は何だと思うかもしれないが、この単語は歴代から受け継がれてきた技である。」

「超越士はバグを倒す際にこの技から発生する発光植物を体内に侵入させて相手を内側から殺す。この戦略を「ゼータ関数」と呼ぶ。」

またまた数学用語。本来の意味とは全く異なるが、まぁいいだろう。中学生が書く厨二小説で意味も分からずにかっこいいから必殺技で名前を使うのと同じ。

この数学用語は著作権がないからな。

「では、お前らの技能を見極めて技を選んでやろう」

その言葉の後、ヨルが最初に見せてくれたのと同じ頭の上で紙が回転する儀式のようなものが始まった。

「お前らにも教えておこう。この儀式の名前は「虚数解」と言ってな、お前らの体の中にある力、「虚数」は習ったよな。その数値を解析して技能を見極める儀式だ。よく使うからやり方を徹底的に頭の中に叩き込んでおけ、まぁ、この儀式は技を身に着けて完璧以上の精度まであげなければできないのだがな。」

「おまえら訓練生はほぼ超越士、またはその職業に関係する何かになることが確定している猛者なのだ。お前らはそこに選ばれた。飛び級ということだな。」

なるほど、だから倫理観が元の世界と変わっている影響で楽に超越士、または世界管理委員会になることが約束されたのに等しい俺たちが選ばれたというわけか。

「分かった。なるほど、納得したぜ。お前ら二人は世界管理委員会だろ。」

そうニヤついて吉川と日向を指さした。

「そしてお前は超越士。お前はにはヨルのオーラがまとわりついている。無論、お前ら二人には神竜のオーラがこびりついているぜ!!」

「吉川!お前は世界管理委員会だからアルキメデスの螺旋を授与しよう。」

「ありがとうございます」

「日向は同じく世界管理委員会のコンピューター係か、ならカオス理論だ。」

「ありがとうございます」

「最後に村上なんだが、お前は歴代の超越士の中で最も虚数解の数値が高い。よって普段は二つのところ三つの技を身に着けることにした!」

「アレフゼロ!クロネッカー青春の夢!神託機械!この三つの技を使いこなせ!」

「ありがとうございます」

吉川のから返事から始まった「ありがとうございます」の言葉は最後まで続き、結果的に良い授与式を終わりに導いた。

俺らはくんれんせいだが、さっきも言っていた通り、実質もう超越士、世界管理委員会に属したのと同じこと。

なら誠心誠意この軍隊に体を預けようではないか。

「吉川と日向は私へ着いてこい。村上は超越士管理係が到着するからそれを待っていろ。」

そう言われて三分が立っただろうが?空を見上げると一つの光が見えた。

光が見えたかと思うと直ぐに地響きのような轟音とともに砂嵐が目の前に巻き起こり、前髪が吹き飛びそうなほどの強風が吹き荒れた。

「よう!お前ならこの程度の衝撃、軽くねじ伏せられるよな!」

「はい、ヨル師匠に散々反射神経を鍛えさせられたので体が勝手に反応するようになってしまいましたので。」

「おっと!」

その男が驚いた理由はヨル師匠に鍛えられた反射神経により反射的に地面を蹴り上げて地面を変形させて壁を作っていたからだ。

「申し遅れた俺の名前は「星川カイト」!お前がヨル師匠と呼ぶ星川ヨルの弟だ!よろしくな!」

「おら!!有限生成アーベル群!!」

恐るべき怖い笑顔を見せたのが分かったのはたった0.1秒程度のことで砂嵐が目の前を襲うと共に衝撃が体に走った。

「クソッ!!」

抑えようとしたが抑えきれなかった力が暴走した。何もわからないのに口から勝手に言葉が出てくる。お、、、抑えられ、、、、ない、、、、!!!

「アレフゼロ!!!!」

いつの間にか言葉を発していた直後には数式を帯びた光りの塔が体から広がっていき、目の前が黄色の光で覆われたのが分かった後には、、、恐らく気を失ったのだろう。

目を開けるとカイトさんがしゃがんでこちら側を伺っているのが分かった。

「流石姉貴に鍛えられた男だ!!いきなり勘技を繰り出して衝撃を送るとはさすがに驚いた!!これから一週間よろしくな!!!」

「は、、、はい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

予想以上に大きな声が出ていたということはこの瞬間に、高揚していたのだな。

こんな言葉を言われて、興奮しない男はいないはずだ!!!

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