第2話学園生活

僕は超越士になるための修行を始めた。

まず最初に何をするかと思えば、走り込み、筋トレと、ごく普通の中学生の趣味のようなことから始まった。

筋トレをして1週間がたった頃、ヨルから一通の手紙を渡された。

内容はこうだ。

「あなたは世界管理委員会超越士専門科への入学が決まりました。

拒否権はありません。この手紙が送られた数日後、制服などの諸々の資料などが送られると考えられます。

もう一度言いましょう。拒否権はありません。

この世界に発生したバグを削除したくは入学を決意しなさい。」

正直言ってしまうと突然転送されて1週間スパルタ筋トレ生活を送った後に謎の手紙を渡されてもやる気なんて起きないんだが、

「これ、行かなくてもいいってこと?だってバグとか意味わかんないし」

「やる気がなくたって、意味がわからなくたって、手紙が回ってきたってことは、あなたの力を学校側が認めたってことでしょ?なら行きなさいよ。」

正直言って、たった1週間でここまで成長するとは思っていなくて、長い期間鍛錬し、やる気をつけてから入学させる気だったようなのだか、この期間のうちから体力やパラメーターをまとめたデータを学校側に提出していたようで、早めの入学が認められたようだ。

そんなことがあってから約3日後。

制服や校則等の資料が届いた。

制服の胸元には金色のバッジが着いており、服はまるで軍服。

黒い長ズボンと黒いTシャツ。深緑色のネクタイが付属しており、長い鍔が着いたベレー帽のような帽子。

オマケには謎の袖につける「首席」と刻まれている布が入っていた。

「お、お前首席に選ばれたんだな。着々と私と同じ道を歩んできている。うん!最高だ!」

切り抜きで見たオフのヨルのような姿が目の前にあるのももう見慣れた光景だ。

と、首席か、うん、全くわからんな

「待ってくれ、首席なんだろ?てかなんで首席に選ばれたんだ?」

「1番の考えとしてはやっぱり上達の速度だろうな。1週間で入学にしたと聞いたのはお前以外に知らん。私でも1ヶ月かかったんだ。」

おかしいな、1週間当たり前の筋トレをしただけなのに。腕立て伏せを朝昼晩に10回ずつ。懸垂に至っては3日に一度5回ほどやるくらいだ。

ヨルはたった1回でもべた褒めをした。転送者とこの世界での倫理観は異なっているのだろうか。


4日後


入学式だ。

俺は首席ということもあり注目されているらしいが中学生の頃に散々注目されたから飽きている。

「アイツ、こんなにガン見されてるのに見向きもしないぞ?!」「そうとう肝が据わってるな!」「いいなあいつ!仲良くなりてぇ!」

周りからコソコソとなんて言ってるか分からない絶妙な声量の話し声が聞こえてくる。

やはり倫理観が異なっているのだな。

みんなひょろひょろとしていて唯一の不良らしき男が日焼けしているだけのガリだ。

日焼けしているだけいいのだろうが、こんな世界なら日焼けをして筋肉が着いていて身長が高いのは珍しいことなのかもしれない。

「桜の咲き乱れる春の訪れ、我々は超越士専門科に入学しました」

カンペがあるので特に緊張することも無くスラスラと台本を読み終えて礼をすると、周りから鼓膜が破裂しそうなほど大きな拍手が響き渡った。

「うるせぇ!何だこの拍手は!?」

やはりこの世界はおかしい!狂ってる!

「ナイスだ!あそこまで緊張せずにハキハキとスラスラ代表演説が出来る男は初めて見た!」

「あー、そうですか、ありがとうございます。」

「なんだ?少し不機嫌だな?どした?」

「いや、向こうの世界とこっちの世界の倫理観が違いすぎてですね、拍手の音が大きかったり、ほんの少しのことでワシワシと頭を撫でられたりとうんざりなんです!」

「そうなのか?今まで転送してきた男たちもこんなことは出来なかったぞ?」

「どんだけ非力なやつなんだよ」

「まぁとにかく!入学してからは体力テスト!体づくりを極めていけ!」

「はい!」


体力テストの頃、俺は驚きのあまり目がとび出そうになった。

50メートル走が8秒で10点。

反復横跳びが40回で10点。

シャトルランがなんと10メートルで30回で10点。

簡単すぎるテストに驚いているのを横目に俺は周りの生徒にも驚いた。

「え?ヤバない?!」「待って終わったわ!無理無理!」

え?クソ簡単やんって思ったのは俺だけだったみたいですね!

俺は持ち前の体力と俊敏性で体力テスト満点を記録し、一躍有名人となった。

休み時間では机に集まり、特によく分からない話題に相槌を打っている。

世界管理委員会の方はどうなってんのかな?

「あ、早川は委員長になって、吉川はめっちゃモテてるらしいぞ?」

適応が早すぎる!

いや、分かるぜ?この世界なら委員長は分かる。モテるのは意味わからん。死ね。


と、まぁイージーな生活を送っているとさ。

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