ワクワク!ある日の捕獲大会! ガク

「ガク〜。」

「んあ?」

「見てこれ!メイが獲った!」


 ある少し暑い日の昼。メイが右手を突き出した。その手が少し開かれた瞬間目を見張る。


「あ!?お前どこで捕まえた!?」


 そう、カサカサと音を立てて動き回るゴキ◯リだ。ここではGと仮定しよう。


「あー逃げたー。」

「おいおいおい!ケイトー!」

「ん?うわぁっ!コウ!こっち来て!」

「はいはい、どうしました?…あ。ガク、スリッパ。」

「きゃー待ってー!」


 玄関で靴に防水スプレーを吹きかけていたケイトとそれを見ていたコウもすぐに来る。一応中央3番は、みんな虫には触れるタイプらしい。あ、でもケイトはものによるか…。

 客用のスリッパをコウにぶん投げる。コウはそれを片手でキャッチして追いかけ回すメイの方へ。


「…よっ。あ逃げた。」

「待ってー!」

「うわっ、こっち来た!」


バンッ!


「あっ!ごめん!」


 おいおい、Gに銃ぶっ放すやつがいるかよ。当たってないし。まあケイトなら反射なんだろうな。


「こいつ速えな…。」

「…コウ、そんなんじゃダメだよ!もっとこうやって…あいつをリスペクトするの…。」

「あーやべぇ。頭おかしくなってる。」

「こうやって慈愛の心で…。」

「いつ覚えたの?」


 メイが訳のわからないことをぼやいて床にぺたりと座る。するとどうだろう。Gがメイのそばで止まった。マジであいつやべえ…Gに好かれてる…。


…ドンッ!


「はい仕留めた。」

「あー!メイのゴーくんがー!」

「感情移入しないで!?」

「…よし。これで一件落着。」

「どこから入ってきたのかな?」

「そうだった。どこで捕まえたんだよ。」

「…そと。」

「は?」

「窓開けたら見つけて…家の中に入れてみた。」

「「入れてみんなよ!」」

「あ、ハモった〜。」

「他にも何か入れたりしてねえな?」

「…うん!」


 …おかしい。明らかに目線が天井やら壁やらに向いている。


「…お前なぁ、虫拾ってくんなって何回も言ってんだろ…。」

「なに入れたんだ?早く言え。」

「…ま、まあまあ。メイも悪気があったわけじゃなさそうだし?そんな険悪ムードにならなくても…。」

「…カッピーとムーンとイーモンと…」

「結構入れたな!?」


 するとだ。呆れ顔のコウの頭に白いものがとまる。おいチョウじゃん…。


「はい、まず1匹。」

「手分けして探せー。」


 捕獲大会が始まった。


「あ、壁にカタツムリへばりついてる〜。」

「天井にトンボ確認。それと床に、潰れたカマキリ。」

「あ!イモムシいたー!」

「…おい、椅子の下にムカデいんだけど!?」


 もはやジャングルとも言えるこの空間をメイは楽しそうに走っていた。客が来なくなりそうだが。

 結果、2時間の大健闘の末、捕獲大会は幕を閉じた。そして窓の留め具にはガムテープが貼られた。

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