なんだかよくわからないテスト コウ
「…せまい。」
「あつい!」
「しょうがねぇだろ。我慢しろ。」
「もうそろそろかな…?」
俺らは今…大きな箱に閉じ込められていた。
いや聞いてほしい。いきなり本部の人達がやってきて、テストだの試験だの言って閉じ込めたのだ。ちなみに透明のガラス製。
ガクと先輩が下に。俺とメイが上に重なるようにして入る。
『わぁ…!みなさんがひとつの箱に…!……っ!写真撮らないと…。』
「…あいつ、なんかヤバいやつだったりしねぇか?」
「不審者?」
「いや、サナエさんはずっとあんな感じだよ。中央3番が推し支部なんだって…。」
「支部に推しとかあったんですか…?」
『…よし。まずは200枚…。あ、壊していいですよ〜。』
「…じゃあ、こっち側から粉砕します。」
「なにか壊す時っていつもコウだよね。」
「よっ、器物損害担当!」
「うるせえ。後でお前も粉砕してやるよ。」
『っ……!なにこの会話…尊すぎる…!』
「…あいつも粉砕します…?」
「本部の人だから!」
バリン!
あー暑かった。服をパタパタと仰ぐ俺を、またもやサナエさんは写真におさめる。
…かと思いきや、今度は水がたっぷり入った水槽に突っ込まれる。おいおいおい!蓋閉じるな!?慌てて息を止める。
『今度はそこからお願いしまーす。え、待って水の中だからケイトくんのパーカーが上がってお腹見えてる…!きゃーー!』
やっぱあいつヤバいやつなんじゃね?上着のチャックをしっかり閉めた。連写音が鳴り止まない。
『待ってメイちゃんワンピースだから…!あとちょっと…!あとちょっとでメイちゃんの太ももを拝める…!』
はいアウト!コイツ不審者だ!
ガクが自慢のあるのかないのか分からない目を使って鍵の解除を試みる。ガチャリと音が鳴って蓋が開いた。
「…あー!死ぬかと思った!」
「つめたかった!」
「くそっ…後ちょっとで見られそうだったのに…!」
「おいコイツもう縛ろうぜ。」
「…検討するか〜。」
「それじゃあみなさん!残りひとつなので張り切って行きましょう!」
タオルで水気を取り、最後は椅子に座らされた。そしてグルグルと拘束具を巻かれる。ちなみに四方の外に向いた椅子なので、全員同じ拘束具だ。
「それじゃあ最後はそこから脱出しちゃってくださーい。っていうかみんなでグルグルにされてて可愛い…!」
あー再び連写音の時雨だ。マジでここが推しなんだな…。
「…どうする?」
「脱出すればいいんだったら、椅子ごと壊せばいいですよね。」
「…とりま肩とか腕の関節外しとくわ。」
「え?」
右隣を見ると、ガクがなにやらおかしな動きをして体をグニャグニャにしていた。いやなんか気持ち悪い…。あっさりとガクは腕の脱出に成功してしまった。
「どうすればいい?」
「…器物損壊担当〜。」
「はいはい。」
バキッ!
よし。まあとりあえず俺の椅子は壊れて、脱出に成功した。続いて3人もスルスルと成功していく。
「おめでとうございます!テストクリアでーす!それじゃあ私たちはこれで〜!」
サッサと帰っていくサナエさんを、俺らは半笑いで見送った。二度と来ないでほしいな…。
「…あー疲れた。」
「それな。」
「ご飯作っちゃうね。」
「メイ大盛り!」
とりあえず、なんだかわからないテストをクリアした俺らだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます