マイネームイズ… ケイト

「…あ。この書類、硬い方で書かなきゃいけないやつだ。」

「ん?」


 仕事中、新しくメンバー表を作成していたら見つける。名前についてだ。普段の書類や日常では、僕だったら「高梨ケイト」、ガクだったら「ガク」と書くのだが、今回はちゃんと書かねばならない。

 ちなみに『なにか』には基本、苗字がない。人間より家族意識が薄いのだ。でもちゃんとした書類用に、苗字は形だけあるのはある。

 早速まず、僕がちゃんとした方の名前を書いた。


高梨たかなし彗翔ケイト


 …我ながら慣れないな。するとコウとメイがやってきて、僕の字をマジマジと見る。


「…彗星が翔けるで彗翔…?」

「すごい名前…。」

「…次ガクだよ。苗字も書いてね。」

「はいはい。」


天野あまのガク


「…は?」

「これほんとにガクー?」

「…いつ見てもすごい名前だよねー。」

「お前に言われたくねえよ。はい次コウ。」

「コウは簡単そう…。『光』とか?」

「コウ…コウ…『煌』とか?」

「あはは。光っていう漢字、入れてみたかったですねー。」


月出ひたちコウ


「…おい。これじゃサメじゃねえかよ…。」

「いや確かにコウって読むけど…なんでサメ?」

「知らないですよ。」

「じゃあ最後メイー。」

「お前、自分の名前漢字で書けんのか?」

「うん書けるー。練習したー。」


小繁縷こはこべ瑪飴メイ


「おいコイツが1番やべえぞ!苗字も名前も初見じゃ読めねえ!」

「え…メイヤバいな…。」

「…なんかこう、いつものと改めて並べてみると…。」


高梨彗翔  高梨ケイト

天野鶚   ガク

月出鮫   月出コウ

小繁縷瑪飴 メイ


「…イカつい…。」

「画数多いな!」

「漢字ムズイの多すぎ。」

「なんかギューギューしてる!」


 改めて、ちゃんとした方はだいぶめんどくさいと思い知った。っていうかうちの支部、苗字と名前を初見で読めてもらえる人いなさそう…。

 僕はめっちゃ頑張ったらいけるけど、ガクは名前が無理、コウは名前も独特だけど苗字が無理。メイは『考えない方がいい』だ。

 うちは名前でもヤバいやつらばっかりなんだな〜。

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