第14話 進撃、第16旅団
西暦2035(令和17)年10月3日午後 フロミア大陸中部 アズラ平原
「前進!」
大隊長の命令一過、44両のAMV装輪装甲車と14両の16式機動戦闘車が広大な平野を進む。その数キロ先にはロドリア陸軍歩兵師団の姿があったが、機甲戦力はエルディア空軍の攻撃機によって悉く撃破され、軽歩兵ばかりの集団となっていた。
「くそ、装甲車ばかりの連中だ!」
「応戦だ、応戦しろ!刺し違えてでも撃破しろ!」
砲兵達は必死にカノン砲や野砲を動かし、迫りくる敵車両に向けて発砲。歩兵達も機関銃や携帯式無反動砲で攻撃を仕掛けるが、前面に展開している16式機動戦闘車の装甲は歩兵の用いる重火器を想定したものであり、その上に爆発反応装甲も装着している。はたせるかな、75ミリ野砲や100ミリ榴弾砲の旧式砲弾は爆発反応装甲に相殺され、無反動砲の榴弾も防がれる。お返しとばかりに91式多目的榴弾が一斉に放たれ、数秒後に複数の陣地が塹壕もろとも吹き飛ばされる。
「今だ、突撃!」
笛が鳴らされ、AMVより降車した隊員達は、多目的アンドロイドを先頭に立たせて突撃を開始する。すでに20式小銃には89式多目的銃剣が装着されており、多目的アンドロイドの部隊は20式小銃に装着したGLX160グレネードランチャーを発射。塹壕から乗り出てきた敵兵を40ミリグレネードを吹き飛ばすと、そのまま突撃。塹壕内へとなだれ込む。
「くそ、女に化け物ばかりかよ!!!」
「舐めやがって、ロドリアの戦士としての意地を見せてやれ!」
敵兵の姿を見たロドリア兵士達は、半自動小銃にスパイク型の銃剣を取り付けた状態で迎え撃つ。だが戦意では自衛隊も劣っていなかった。むしろ相手が相手だけに、普通科連隊を構成する者達はやる気に満ちていた。
「性別と種族で舐め切っている相手に、私達自衛官の強さを思い知らせなさい!」
「私達の本当の故郷を奪い取った、悪しき侵略者に本当の正義を見せつけてやれ!」
たちまちのうちに、至る所で銃剣のぶつかり合う音が響く。ロドリア陸軍の半自動小銃は銃身が長く、槍騎兵の様な振舞い方を求められた。対する陸上自衛隊の20式小銃は短機関銃に近い運用も行われるだけあって銃身が短く、そして銃剣を装着しての扱い方は、刀のそれに近しいものとなった。
狭い塹壕内では、それが明暗を分けた。取り回しの良い20式小銃は敵歩兵を一方的に撃ち倒し、銃剣はボディアーマーを纏っていない敵兵を切り倒す。そうして戦線を蹂躙していき、制圧の終わった地点を16式機動戦闘車とAMVが乗り越えていく。
「小隊、続け!」
塹壕を超え、数十人が小銃の銃口を前に構えて駆ける。その中にはカティル達の分隊もあった。
「行け行け行け!訓練の成果を見せろ!」
カティルは声を張り上げ、引き金を引きまくる。AMVも12.7ミリ重機関銃で敵兵を薙ぎ払い、西へ、西へと進んでいく。もはや彼らを止められる者はいなかった。
・・・
「中々の調子じゃないか。これなら勝利も間違いなしだな」
旅団司令部にて、旅団長の
「我々が手をこまねいていたロドリア軍相手に、ここまで強気に出れるとは…流石ですな」
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