第2話 賢者

 俺は、誘拐された?記憶が曖昧あいまいだ。俺は...今まだ何をしていた?

 朝はいつもより早く起きた。モーリスに餌をやって、いつものように顔を洗っていた。そしたらミースが後ろから抱きついてきて...。あれ、そのあとどうしたんだっけ?


爺「むふふ。混乱してるようじゃな。」


俺「当然だ。知らない場所で変態じじいと遭遇したからな。そもそもここがどこかも分からない。俺は...あの後何をした?」


爺「其方が妹に抱きつかれていた後か?わしが其方を気絶させてここに連れてきたんじゃろう?何を言っておる。」


俺「!?!?!?妹は、ミースは無事なのか!」


爺「安心せい。其方を連れて行くと言った途端に嬉しがっていたぞ?」


俺「え...。いや。そんなはずは..ない。そもそも、あんたは一体誰なんだよ!さっきから聞いてるけど答やしない!」


爺「わしか?よくぞ聞いてくれた!

わしこそがこの世界の最高賢者にして管理者。

ミルコ・パールである!」


俺「ミルコ・パール!?....だ、だれだ?」


賢「!?!?!?そ、其方...わしを知らんのか?」


俺「うん。ごめん。」



 このじじいが賢者?ありえるのか?俺を騙そうとしているのだろうか。...そんな嘘をついて何になる。世界の管理者?なんなんだそれは。


賢「落ち着いたか?今日は疲れているじゃろう。まだ昼前だが寝るといい。転移魔法でこちらに来たからな。魔力消費が激しいじゃろう。其方の部屋はあの木の上にある。根元に魔力を通して勝手に使ってくれ。わしは賢者会議に出席せねばならんのでのう、今日のところはここでお別れだ。じゃあの〜。」



 行ってしまった。転移魔法か。記憶がないということは転移する前に気絶したのだろう。是非とも拝見したかった。あいつは本当に賢者なのだろうか。悪い人には見えなかったが...。なんて言うんだろう。クズの香りがした。

 まぁいい。あいつの言う通り今は魔力が底を尽きそうだ。従うしかないだろう。


 あの木の根元に魔力を流すんだよな。一か八かやってみるか。


ポワン


ブィーーーーン

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