ノリが悪くてウザいという理由で大学サークルから追放されてしまった。仕方ないので一人で大学生活を謳歌してると元サークルのヤンデレ美人姉妹が俺の家に入り浸るようになっていった話。
第22話:な、なんでこんなものがっ!?(久住視点)
第22話:な、なんでこんなものがっ!?(久住視点)
という事で俺達は急いで弁明をしようとした。しかしその時……。
「い、いや、だから違うんだって! ま、まずは俺の話を――」
「ぐすっ……ぐす……も、もしかして私……今日このまま飲み会に参加してたら……先輩達に襲われそうになっていたってことですか……?」
「え……えっ!? い、いや! だから違――」
俺が急いで弁明をしようとしたその瞬間……まさかの四条瑠香が大粒の涙をボロボロと流しながら震えた声でそんな事を言ってきた。
そしてその瞬間に周りの空気が一変した。
―― ギロッ……!
(うっ……)
(な、なんだよこれ……)
周りの女子達が一斉に敵意向きだしの目つきで俺達の事を睨みつけてきた。あまりにも恐ろしい目つきで俺達の事を睨みつけてきたので、俺と鳴海は共に狼狽え始めていった。
「朱音、大丈夫よ……ほら、私が付いてるからね。……久住君、これは一体どういう事なのかしら?」
そして姉の四条瑠香はボロボロと大粒の涙を流して怯えた様子の妹の事を優しくぎゅっと抱きしめていきながらも、俺達の事をキッとした目つきで睨みつけてきた。
「い、いや……だからそれは、その……えぇっと……いや、冗談だよ冗談! 男同士で話す時はこんなのよくある冗談じゃん! だから全部嘘だよ嘘! というか何でこんな録音データがあるんだよ!? もしかして盗聴でもされてんのか!?」
「……いや、これは匿名で俺に送られてきた音声データだ。どうやらお前達の声がサークル室から外の廊下に漏れてたらしく、犯罪行為を宣言しているかのような話だったので咄嗟に録音をした者がいたようだ。ま、善意の第三者からの報告って事だな」
「なっ!? そ、そんな馬鹿な!?」
桜木先輩は厳格とした表情で俺達にそんな事を言ってきた。
「い、いや、でも! そ、それが俺達の声だっていう証拠はないでしょ! そもそも匿名の送り主なんて怪しすぎでしょ!!」
「そ、そうっすよ! ってか俺達そんな話をした覚えないっすもん! あ、もしかしたら……それって作られた偽物のデータなんじゃないっすか!? ほ、ほら! 最近はフェイクデータの詐欺とかめっちゃ横行してるじゃないっすか! だから多分きっとそういう類の偽物のデータですよ!!」
「……そうか。あくまでもしらばっくれるんだな。それじゃあ実はもう一つ送られてきた添付データがあるんだ。それをお前達に是非とも見て貰いたいんだが」
「え? もう一つのデータ? そ、それは一体……?」
「あぁ、俺の元にあるSNSアカウントの画像データが届いたんだが……このアカウントはお前達のモノだろ?」
「え……って、えっ!?」
「なっ!?」
((な……なんでこんなものが!?))
そう言うと桜木先輩はスマホから画像データを取り出して俺達に見してきた。そしてそれはまさしく俺達の鍵垢のSNSのアカウントだった。
・画像①
久@鍵垢:〇〇大学にいる沢城とかいうクソ男キモすぎる。マジで早くしんでほしい
ナル@裏:いやマジでキモキモすぎてドン引きだよなw 見てて不快すぎ。マジでころしてーw
・画像②
久@鍵垢:大学のミスコンで四条姉が一位取ったとか凄すぎだろ。でもそんなミスコン一位の四条と仲良い俺もある意味凄すぎw
ナル@裏:マジでそれな。ってか前に酔ったフリして四条さんのおっぱいめっちゃ揉んじゃった。ミスコン一位のおっぱいマジでやわらけーww
久@鍵垢:何それ裏山。俺も今度酔っぱらったフリして四条のおっぱい揉みまくってくるわ!!
・画像③
久@鍵垢:沢城とかいうゴミクズがいなくなって初めての飲み会だ! 次の飲み会で四条をすぐに酔わせて朝までずっと犯すぜ!
ナル@裏:俺は妹の朱音ちゃんをガンガンに犯す予定ww 朱音ちゃんのアソコがガバマンになるまで犯し続けるわーww
そんな俺達が鍵垢で呟いた内容のスクショが先輩のスマホに次々と映し出されていた。これ以外にも沢山のスクショが先輩のスマホに映し出されていた。
「な、なんで……こんなものが……?」
「これも匿名で俺宛てに送られてきたものだ。このサークル室から不穏な会話が聞こえてきたという事でネットに詳しかった匿名者が心配になって色々と調べてくれたんだろうな。それでさっきも尋ねたが……このアカウントはお前達のだよな?」
「え、ち、違いますよ! これこそフェイクデータっすよ!」
「そ、そうですよ! こんな意味不明な鍵垢なんて持ってるわけないじゃないですか!」
俺達は全力でしらばっくれる事にした。スマホを見せろと言われても絶対に見せないようにしないぞ……!
そ、そうだ、今日はスマホを持ってきてないという事にして……それでこのデータは今日中に削除してしまおう! よし、これで完璧だ――。
「……そうか。この鍵アカウントはお前達のモノじゃないんだな?」
「は、はい! そうっすよ! 俺達のじゃないっすよ!」
「はい、こんなの悪質なイタズラですよ! マジでこんな酷い事を俺達はSNSに書き込んだりなんてしないっすから!」
「そうか、なるほど。お前達に変な疑いをかけてすまんかったな。でもそういう事になると……ここからは警察の仕事になるだろうな」
「はいそうっす! 俺達のアカウントじゃ絶対に……って、えっ!? い、いや何で警察が出てくるんすか??」
「ん? いや何でって……大学名まで記載して特定の人物だとわかるように誹謗中傷や性暴行を予告めいた事を書いてるからだろ。これはれっきとした犯罪行為だからだ」
「なっ!?」
俺達は桜木先輩の言葉を聞いて絶句した。い、いや、警察って……な、何でそんな大事になるんだよ!?
「は、犯罪行為ですって!? い、いや、その鍵垢は俺達のではないんですけど……でもこんなのただの軽口めいた冗談じゃないっすか! SNSに書き込むのって大抵皆軽口とか冗談を書き込むようなもんでしょ?? だからこんな書き込みは全然犯罪じゃないですって!! あ、あはは、先輩はSNSのノリが全然わかってないっすね? ノリが分かってないって寒すぎっすよー??」
「そ、そうですよ、先輩! こんなのSNSをやってるヤツは皆やってるような冗談の書き込みじゃないですかー。それなのに何でいきなり警察とか言い出すんすか? ちょっと真面目過ぎてドン引きなんですけど??」
「……冗談か。お前達にはまだこれが冗談で済む問題に見えてるって事か?」
「え? あ……」
―― ひそひそ……
「ちょっとやばくない? あのスクショを見てどうして冗談だって笑えるのかしら?」
「それはやっぱり……あの鍵アカウントがあの二人のものだからでしょうね」
「あぁ、だから必死に自己弁明をしようとしてるって事ね……本当に笑えないわ」
「というかあの書き込みの感じだと毎回飲み会の時に女子達にセクハラしてたんじゃ……?」
「あぁ、なるほどね。だから女子大サークルの飲み会も断られたのね……」
気が付いたら俺達は周りの女子達から冷ややかな目で総スカンを食らっていっていた。
「ぐす……ぐすっ……お姉ちゃん……もしかしたら私……部長達に朝までずっと襲われ続けてたかもって事だよね……うぅ……ぐすっ……怖いよ……お姉ちゃん……ぐすっ……」
「大丈夫よ朱音。私がずっと付いていてあげるから心配しないでね。とりあえず今はちょっと外で休みましょっか? ……すいません、桜木先輩。という事で後は先輩に全て任せても大丈夫ですか?」
「あぁ、もちろん。後輩をここまで怖がらせた報いはちゃんと受けさせるから安心してくれ」
「はい、本当にありがとうございます。あぁ、それと……」
「ん? あぁ、もちろんわかっているさ」
「はい、ありがとうございます。それじゃあ一緒に外に行きましょう、朱音?」
「ぐすっ……うん……ぐすっ……」
そう言って四条姉妹はサークル室から出て行った。
「……さて、それじゃあお前達はわかってるかはわからないが、このままだと今回の件は警察に相談する事になる。サークルメンバーの名前や個人情報をSNSに勝手に上げたり、誹謗中傷や性的暴行を示唆するような書き込み。これらは全て日本では犯罪行為だからだ」
「そ、そんな……」
「しかし、実は四条の方から事前に今回の件は大事にはしないで欲しいと言われているんだ。つまりは警察沙汰だな。理由は妹さんが精神的にだいぶショックを受けて参ってしまっているとの事だ。まぁそれはさっきの様子を見ていればわかると思うがな」
桜木先輩はそんな事を言ってきた。確かにさっきの辛そうな四条朱音の様子を見ていたらそれは察するものもあるけど……。
「という事でこれ以上妹さんへの精神的ストレスを増やさせたくないという事で、四条からはなるべく穏便に済ませて欲しいと言われている。つまり……お前達が先ほどのデータが全て自分達のモノだと認めるのであれば、今回は警察に連絡はしないとの事だ。まぁこれは四条達の恩情だな。もちろんこの件についてはSNSに名前を書き込まれている沢城も同意してくれているらしい」
「え、ほ、本当ですか!?」
「あぁ、だがしかし、ちゃんと罰自体は受けるべきだと考えている。なので翌週の朝にはこれらのデータを全て持って大学の学生課の方に提出する事にする。然るべき罰は大学側から受けて貰う事になるだろうな」
「え……えっ!? そ、そんな……!? そ、それは流石に――」
「ん? 何か文句でもあるのか? これでもかなりの恩情だと思うのだが? 最悪の場合は前科がつく可能性もあったんだぞ? それが付かないだけでもだいぶマシだと思うんだがな?」
「うっ……そ、それはその……はい、そうですね……何も文句はありません……」
「そうか。それじゃあ……これらはお前達のデータだと認めるという事で良いんだな?」
「……はい」
「……はい」
俺達は項垂れていきながら桜木先輩に先ほど見して貰ったデータは全て本物だと伝えていった……。
こうして俺達が自供した事で今日の飲み会は急遽中止となり、そして俺達は翌週の月曜日に桜木先輩に連れられて学生課へと連行されていったのであった……。
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