第17話:朱音ちゃんと楽しく話していく

「あ、そうだ!」

「ん? 今度はどうしたの?」


 そんな感じでそれ以降も朱音ちゃんと一緒に買い物を続けて行っていると、ふいに朱音ちゃんが声を上げてきた。


「いや、そういえば先輩……少し前にお姉ちゃんと二人きりで飲み会をしてたらしいじゃないですか?」

「え? あぁ、うん、そうだね。もしかして四条さんにその話を聞いたの?」

「はい、お姉ちゃんから聞きましたよ。そんな楽しそうな事を二人だけで開催するなんて本当にズルいですよー……というかどうして先輩は私の事を誘ってくれなかったんですか??」


 朱音ちゃんはジトっとした目つきで俺の事を睨んできた。まぁ本当に怒ってるわけではないのはわかっているんだけど、でも俺はしっかりと謝っていった。


「あー、ごめんごめん。当日に突発的に決まった飲み会だったからさ、だから急に誘っても用事とかあるかもって思ってね」

「いやいや、先輩からのお誘いだったら用事があったとしても行くに決まってるじゃないですか! もう、お姉ちゃんだけ先輩と飲み会をしてたなんて本当にズルイなー……」

「あ、あはは、ごめんごめん。それじゃあ今度飲み会をする時は必ず朱音ちゃんを誘うから許してよ」

「んー、はい、それじゃあそれで許します! あ、でも……ふふ、それじゃあ、その代わりにその飲み会はちゃんと私と先輩の二人きりでお願いしますよ?」

「え? 俺と朱音ちゃんの二人きり? お姉さんの四条さんは誘わなくて良いの?」

「はい、お姉ちゃんは私を誘ってくれなかった罰で誘いません! それで沢山先輩との飲み会の写真を撮ってお姉ちゃんに見せびらかせます!」

「あはは、そっかそっか。まぁそれで許してくれるなら全然良いよ。それじゃあ今度一緒に飲み会でもしようね。あ、でも朱音ちゃんはまだ19歳なんだからお酒は飲んじゃダメだからね?」

「はい、もちろんわかってますよー。あぁ、でも、もしもまた間違えてお酒を飲んじゃったら……その時はまた介抱してくださね?」

「ん? あぁ、それはもちろん……って、だからと言ってコッソリとお酒を飲んだりしちゃ絶対に駄目だよ!?」

「ふふ、もちろんわかってますよー。あ、それじゃあ帰ったらすぐに空いてる日にちをLIMEで送りますね!」

「うん、わかったよ」


 という事でつい先日に四条さんと飲み会をしたばかりだけど、今度は妹の朱音ちゃんと飲み会をする事が決まっていった。まぁ朱音ちゃんは未成年だから飲み会というよりもご飯を食べに行く会になるとは思うけど。


「ふふ、先輩と二人だけの飲み会かぁ……すっごく楽しみだなー!」

「はは、そういえば朱音ちゃんってサークルでも飲み会には毎回必ず参加してたもんね。もしかして朱音ちゃんはああいうワイワイと楽しく集まれる会が好きなのかな?」

「はい、それはもちろんですよ! だってサークルの飲み会はいつも先輩と楽しく過ごせる場でしたしね……ふふ」

「ん? そ、そっか? って、あ、そうだ。そういえば最近はサークルの飲み会とかは開催されてないの?」

「え? サークルの方ですか?」


 俺はふと気になったのでそんな事を尋ねていってみた。今まではいつも俺が飲み会の幹事をしていたんだけど、最近はちゃんと誰かが引き継いで幹事してくれてるのかな?


「あぁ、はい! ここしばらくは全然無かったんですけど、でも来週の土曜日に久々に飲み会を開催する事になっていますよ! それで幹事については部長の久住先輩がするそうです!」

「あ、そうなんだ。俺の代わりにちゃんと久住が仕事をしてくれてるようなら良かったよ」

「はい、本当に良かったですよー……ふふ」

「……ん? ど、どうしたの?」


 俺がホッと安堵していると、その隣で朱音ちゃんが何か含みのあるような笑みを浮かべていた。


 いつもの可愛らしい朱音ちゃんがそんな黒い笑みを浮かべているが何だかちょっとだけ怖くも見えた。


「え? どうかしましたか先輩?」

「え? え、えっと……いや、何でもないよ」

「んー? あはは、変な先輩ですねー!」


 でも俺がちょっとビックリとした様子を見せていくと、途端に朱音ちゃんはいつも通りの天真爛漫な笑みを浮かべながらそんな事を言ってきた。


 うーん、さっきの黒い笑みは俺の見間違いだったのかな……?


「……あ、そうだ! それじゃあ先輩! この後は家電量販店に行きたいんですけど良いですか? 最近使っていたパソコン用のハードディスクがいっぱいになっちゃったんで、今度はもっと大容量の物が欲しいんですよねー」

「え? あぁうん、もちろん良いよ。でも大容量のハードディスクが欲しいなんて……もしかして最近は写真とか動画とかでも沢山撮ってるのかな?」

「ふふ、そうですね! 最近はそういうのを沢山撮るようにしてますね! やっぱり大切な思い出はちゃんと全部記録しておきたいですし!」

「へぇ、なるほどね! うんうん、やっぱり思い出とかは凄く大事だもんね! うん、わかった。それじゃあ家電量販店の方に向かおうか」

「はい! ありがとうございます!」


 という事で俺はさっきの朱音ちゃんの変な様子は一旦忘れる事にして、そのまま俺達は一緒に家電量販店へと向かって行った。

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