第46話 巡洋戦隊による連続雷撃
ー 重巡洋艦『鳥海』艦橋内 ー
突撃を開始していた早川が率いる第一巡洋戦隊は、ロイヤル・サブリン級戦艦『ロイヤル・サブリン』、『リヴェンジ』、『レゾリューション』に対して有効射程距離に近付きつつあった。
早川から見ても、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦は一刻も早く自分たちを叩いて、『伊勢』と『日向』を牽制しているロイヤル・サブリン級戦艦1隻の救援に向かいたい様子だった。
だからこそ、早川は決断した。
「阿部さんと木村さんに連絡してくれ。我々の巡洋戦隊は、ロイヤル・サブリン級戦艦に対して、連続して雷撃を敢行するっ!!」
「撃沈とまではいかなくても、敵のダメージと速力を低下させることは可能だ。仕上げは、田中さんと有賀さんの駆逐隊に任せようっ!!」
早川の通達を聞いた乗組員たちが動く中、早川は引き続き、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦に対して目測で狙いを定めようとしていた。
一方、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦の各艦長たちは焦っていた。
こちら側の巡洋隊や駆逐隊が相打ち覚悟で突撃を開始していたから、状況はこちら側が有利になると思っていた。
だがここにきて、日本側の巡洋隊と駆逐隊が自分たちに突撃を始めた。
唯一、トンプソン艦長の『ロイヤル・オーク』が2隻のイセタイプを牽制する中で、1隻のイセタイプに命中を与えた。
だけど、直後に『ロイヤル・オーク』にも命中して、速力が落ちてきていた。
(早く日本の巡洋戦隊と駆逐隊を叩いて、『ロイヤル・オーク』の援護に向かわなければっ!!)
その内心での気持ちが、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦の各艦長たちの気持ちだった。
ー 重巡洋艦『鳥海』艦橋内 ー
遂に、ロイヤル・サブリン級戦艦『ロイヤル・サブリン』、『リヴェンジ』、『レゾリューション』に対して有効射程距離に到達した。
ここで早川は、ロイヤル・サブリン級戦艦3隻に向けて、『最初の矢』を放つことにした。
「両艦、右舷の酸素魚雷、一斉射出しろっ!!」
早川の号令により、『鳥海』と『摩耶』の右舷から高雄型の61cm連装魚雷発射管から九〇式酸素魚雷が合計16本が射出されて、次々と3隻のロイヤル・サブリン級戦艦に放たれた。
早川が率いる『鳥海』と『摩耶』から放たれた16本の酸素魚雷。
それは、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦からも確認されていた。
そして、3隻の艦長たちは先に南雲たちが放った酸素魚雷の威力を目の当たりにしていたから、恐怖に陥った。
「取り舵いっぱいだ、急げっ!!」
『ロイヤル・サブリン』の艦長だけではなく、『リヴェンジ』と『レゾリューション』の艦長たちも魚雷回避に必死だった。
だが、必死に魚雷回避を行おうとしていた3隻に、16本中10本の酸素魚雷が3隻に次々と命中した。
直後、『鳥海』と『摩耶』はそのまま離脱して、『長門』と『陸奥』に砲撃や雷撃を仕掛けているイギリス東洋艦隊の巡洋戦隊と駆逐隊に向かった。
早川たちによる最初の雷撃で、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦は魚雷が命中したことによる被害に対して、ダメージコントロールが急ぎ行われていた。
とは言え、速力が低下し始めていた3隻のロイヤル・サブリン級戦艦に対して、『第二の矢』を放とうとして接近してきたのは、阿部が率いる第三巡洋戦隊だった。
速力が低下し始めていたが、各艦の主砲は健在だったから、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦は全主砲による砲撃で『利根』と『筑摩』の接近を阻もうとした。
だけど、阿部たちも被害を受ける覚悟で接近を続けていた。
そして、阿部たちも有効射程距離に達した瞬間、阿部も早川と同じように号令した。
「右舷の魚雷を一斉射出だっ!!」
阿部の号令直後に、利根型の三連装魚雷発射管から、合計で九〇式61cm酸素魚雷12本が射出された。
相次ぐ雷撃に、3隻のロイヤル・サブリン級戦艦は先ほどのような回避は厳しかった。
結果、12本の魚雷の内8本が『リヴェンジ』と『レゾリューション』に次々と命中した。
しかも、8本の内5本の魚雷が『リヴェンジ』に命中し直後に右舷から一気に『リヴェンジ』の船体が傾き海中の中に沈んでいった。
「ロイヤル・サブリン級1隻の撃沈を確認っ!!」
見張り員の一人からの報せを聞いて『利根』の艦橋内には、歓喜が沸き上がり阿部も小さくガッツポーズをした。
(南雲さんたちの仇討ちに、少しは貢献出来たな・・・・。)
内心でそう感じながらも、すぐに阿部は気持ちを切り替えて指示を出した。
「このまま、第二戦隊の援護に向かう!!」
阿部の指示により、『利根』と『筑摩』はすぐに第二戦隊の援護に向かった。
残るロイヤル・サブリン級戦艦は2隻になった。
そして、『ロイヤル・サブリン』と『レゾリューション』の被害は、どちらも深刻になっていた。
『ロイヤル・サブリン』は艦首と船体中部に魚雷が命中していて特に艦首に大量に海水が流入してしまい、これにより速力が更に低下していた。
また、『レゾリューション』は船体中部と後部に魚雷が命中している上に、1本の魚雷が艦尾に命中してスクリューが一つ破損してしまい、これが『レゾリューション』の速力低下になっていた。
既に、『ロイヤル・サブリン』と『レゾリューション』は満身創痍の状態となっていた。
そんな2隻に、木村が率いる第二巡洋戦隊の『最上』と『熊野』が雷撃のために接近を始めた。
『ロイヤル・サブリン』と『レゾリューション』の艦長たちは、すぐに主砲で砲撃を始めたが、先ほど見せられた『リヴェンジ』の
最後を見せ付けられていたから、先ほどとは違って艦内には絶望感が漂っていた・・・・。
そんな状況の中で、木村は敢えて射程距離を縮めるために更に接近を始めた。
確実に『ロイヤル・サブリン』と『レゾリューション』に止めを刺すために・・・・。
ー 軽巡洋艦『最上』艦橋内 ー
『最上』の艦橋内で、木村は自慢の髭を指で触れながら、今後の展開を考えていた。
(若大将の作戦では、有賀さんと田中さんが仕上げをするつもりだったが、あの人たちの出番は無いな・・・・。)
「だからと言って、2隻のロイヤル・サブリン級戦艦に止めを刺す役割を譲るつもりは無いけどな・・・・。」
そう呟く木村に見張り員から報告が届いた。
「ロイヤル・サブリン級戦艦2隻にもうすぐ接近しますっ!!」
報告を聞いた木村は命じた。
「両艦、魚雷を一斉射出しろっ!!」
木村の号令直後に、『最上』と『熊野』の61cm3連装魚雷管から合計で九〇式61cm酸素魚雷12本が射出された。
射出された12本の酸素魚雷は、『ロイヤル・サブリン』と『レゾリューション』を確実に捉えていて、速力が著しく低下していた2隻に逃れる術は無かった・・・・。
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6隻の巡洋艦の雷撃により、1隻が撃沈して残りの2隻は風前の灯火・・・・。
そして、田中と有賀の駆逐隊が突撃する目標は・・・・?
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