断章 / 危憂
不安に苛まれていた。
叔父夫婦を失望させたらどうしよう。幼馴染だという、あの栗色の髪の子を悲しませたらどうしよう。優しくしてくれる看護師さん、ちょっと怖いお医者さん——あの人達に怖がられたらどうしよう。
一寸先は闇、ということわざがあるが当時の私にとっては一瞬先は闇だった。
誰が? 自分が。
だって、どう考えても自分はおかしい。普通じゃない。検査入院ということで色々と身体を調べてもらっていて、それなのになに一つ異常が見つかっていないのは、病院側の職務怠慢なんじゃないか——そんなことを言いたくなるくらいに、自分自身の認識では、異常は明白だった。
力が異常だった。スピードが異常だった。けれどそのくらいなら、私も明日を怖がらない。
最も恐ろしく最も顕著な異常——————————
だから、自覚はあった。私は普通の人間じゃない。きっと私は————
怖かった。ある日うっかり差し出された手
恐ろしかった。
飢えを満たすには、どうすればいいかは
結局、
だけど、そんなのは
————私は命を絶つためにその夜、病室の窓から抜け出して屋上へ向かった。
そこで、運命を変える出会いが待ち受けているとも知らず。
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