第7話 ワイバーン2
ワイバーンは大きい。
中型のプギアゼラ(魔導飛機)の5倍程はある。
ゼデはプギデ(捕竜機)を習った通りに点検してコックピットに入ると即座に上昇させた。
プギデなどこの世界の魔導飛機は
滑走して浮力を得る必要がない。
基本的には魔導浮動器(プミル)が搭載されているので機体は垂直に浮上し上昇する事が出来る。
セルタと比較すると圧倒的に早くて推進器の力を感じる。
ゼデは高揚感を抑えつけてワイバーンのいる高度まで一気に上がる。
この時のGは首に巻いたプミルが相殺緩和する。
ゼデの乗るプギデがワイバーンのすぐ横を掠めて上昇する。
なんかワイバーンと目が合った様な感じ。
こわー。
充分高度をとるとゼデはプギデの機首を下げて降下する。
降下の速度に乗せて弩弓を射る事で銛の貫通力を高めるんだ。
ワイバーンは既に何本かの銛を打ち込まれているが、プギデの銛では若干動きを阻害する程度といったところ。
ゼデが放った3本の銛も2本は弾かれ、かろうじて1本がワイバーンの翼に当たった。
ワイバーンなどの大きな魔獣やドラゴンなどは実際のところ翼によって浮力を得ているわけではない。
滅多に採取出来ないが体を浮かせる飛行石(ラプト)を持っていると言われている。
採取出来ないのはラプトを体内に持つ魔獣やドラゴンが死ぬと間もなくラプトは重力圏から逃れるように体から飛び出して行ってしまうからだ。
ともあれ銛の一本ぐらいでどうにかなるワイバーンではないがセルタとブギデが周囲をウロウロしているのは鬱陶しいだろう。
そこへかつてはザウリア(捕鯨師)として活躍していた教師達が嬉々としてプギアゼラで上がって来る。
キャノピー越しでも教師のエイグスがニヤついているのがわかってしまう。
普通ならそこは生徒の心配をするところなのだろうが、ワイバーンぐらいで怖気付くプミタス (飛空族)などいない。
「ワイバーンの唐揚げ楽しみじゃー。」
「おやつが向こうからやって来たー。」
「久しぶりに腕がなるぞー。」
「解体の実地授業ができるのー。」
と言う具合だ。
ワイバーンが気の毒になる。
指揮機の合図で一次的にセルタとブギデがワイバーンから距離を取るとワイバーンの真上から4機のプギアゼラ(魔導飛機)がコックピットを突き合わせるような四角形の編隊をとって急降下してくる。
発射されたバリスタの銛に存分に加速をつける。
バリスタを発射したプギアゼラは4方に展開する。
「長老かっこいいよう。」
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