第21話

 ぼうっとわたしとセーヤくんの身体がひかりだす。気のせいかと思うくらいの光はだんだんと強さをまし、眩しいくらいの光になる。


「ありがとう!」

「ありがとう!」


 感謝の言葉が飛び交う。そんななかわたしは意識を手放した。


「うわ!」


 気づくと冷たいアスファルトの上に寝転んでいた。傍にはセーヤくんが寝転んでいる。


「わ! 大丈夫?」

「いてて……大丈夫です。トーコさん」


 セーヤくんと顔を見つめ合う。


「夢じゃない……よね?」

「たぶん?」


 わたしたちは確認しながら立ち上がった。体に怪我はない。ふと見ると転移するときに落としたビールとポテトチップスの入ったビニール袋が落ちていた。


 わたしはそれを拾い上げると、周りを見渡す。何事もなかったかのように人々が通り過ぎていく。


「戻ってきたんだ」


 自分で言って急に実感した。よかった。


「トーコさんのおかげです。ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそありがとう」


 セーヤくんと別れを告げ、それぞれの生活に戻っていく。わたしは本当の帰路につきながら、帰ったら掃除でもするかと思うのだった。

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巻き込まれ転移者は聖女になりました おおつ @jurika_otsu

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