第19話
わたしは大樹の精霊さんから聞いたことをセーヤくんに伝えようと聖堂を飛び出した。セーヤくんは訓練場にいるはずだ。
「トーコさん!」
やはりセーヤくんは訓練場にいた。
「セーヤくん!」
自然に声が高くなる。早く伝えたい。
「帰れるって! 元の世界に!」
「え! どういうことですか!」
わたしは精霊さんに聞いたことを説明した。説明する端からセーヤくんの顔が明るくなってくるのがわかる。最後まで話すとわたしたちはお互いの手を握り合っていた。
「やったね!」
「ほんとに帰れるんですね!」
普通ではない喜びように周りはなんだなんだと集まってくる。わたしは再度元の世界に帰れることを説明した。
「それは本当か」
いつのまにかいたおじいさんも一緒に喜んでくれた。
「よかったあ」
クロエも自分ごとのように喜んでくれる。いつのまにかこんなにたくさんの人と絆を結んでいたのだと実感する。少し寂しいような気がしながらも、わたしは帰れる喜びを噛み締めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます