第19話

 わたしは大樹の精霊さんから聞いたことをセーヤくんに伝えようと聖堂を飛び出した。セーヤくんは訓練場にいるはずだ。


「トーコさん!」


 やはりセーヤくんは訓練場にいた。


「セーヤくん!」


 自然に声が高くなる。早く伝えたい。


「帰れるって! 元の世界に!」

「え! どういうことですか!」


 わたしは精霊さんに聞いたことを説明した。説明する端からセーヤくんの顔が明るくなってくるのがわかる。最後まで話すとわたしたちはお互いの手を握り合っていた。


「やったね!」

「ほんとに帰れるんですね!」


 普通ではない喜びように周りはなんだなんだと集まってくる。わたしは再度元の世界に帰れることを説明した。


「それは本当か」


 いつのまにかいたおじいさんも一緒に喜んでくれた。


「よかったあ」


 クロエも自分ごとのように喜んでくれる。いつのまにかこんなにたくさんの人と絆を結んでいたのだと実感する。少し寂しいような気がしながらも、わたしは帰れる喜びを噛み締めていた。

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