第18話

 それからは平和な生活が続いている。変わらず聖堂の掃除をしながら、たまに孤児院の子どもたちに掃除や洗濯を教えている。


 セーヤくんも同様のようで、自らの希望で訓練を受けながら近衛隊への入隊を志望しているらしい。


 そんなある日の午後、洗濯物を干している時にそれは聞こえてきた。


「トーコ、トーコ」


「え、なに!」


「わたしです。大樹の精霊です」


「わ、精霊さん。どうかしましたか?」


 風に乗って聞こえてきた声に返事をする。


「せめてものお礼として、時空の大樹に掛け合ってみたんです」


 聞き慣れない存在が登場した。


「それで、トーコさんとセーヤさんを元の世界に戻せることになりました!」


「え! 本当ですか!」


 願ってもない言葉に驚く。本当に帰れるのだろうか。セーヤくんにも伝えなければ。


「ええ、明日の正午、お二人をもとの世界に送ってくれるそうです」


「ありがとうございます!」


「いいえ、こちらこそ。では」


 そうして声は聞こえなくなった。

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