第17話

「わたしはこの樹の精霊です」


 爽やかな風のような声がその場に響き渡る。


「穢れに侵されて魔物を生み出すための養分となってしまっていたのです。


しかしあなたが穢れを払ってくれた


本当にありがとう」


「そんな、掃除しただけですから」


「ふふ」


 大樹は笑うとその枝に次々と葉をつけ、あたりに涼しさを届けてくれた。


「魔物の根源を断ち切ったと言うのか」


 体調が感嘆の声を上げる。そこから次第次第に歓喜の

声が上がっていった。


「やったぞ」

「やったあ」


「やりましたねトーコさん」

「セーヤくんが守ってくれたおかげだよ」


 わたしたちはしばらく喜びを噛み締めていた。


 帰り道は行きとは違い平和なものだった。大樹が道行を見守ってくれているような気がした。


「トーコさん!」

「トーコ!」


 聖堂に帰ると子供達やクロエが待ってくれていた。


「よかったあ」


 クロエは泣きながら抱きついてくる。


「大丈夫だって言ったでしょ」

「だってえ」


 そんなわたしたちを周りはあたたかい目で見つめている。なんだか気恥ずかしかった。しかしクロエと子どもたちのおかげで無事に帰って来れたんだという実感が湧く。


「ただいま」

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