第16話

 それからはひたすら掃いてごみを集めての繰り返しだった。落ちた枝葉や砂のような黒い粒が大量に集まる。その間にも魔物は襲ってくるので討伐隊のみなさんやセーヤくんに何度も助けられた。


「よいしょ!」


 そして最後のごみを移動させたら。


 みしみし。

 何かが軋むような音が聞こえた。



 みしみしみし。

 音は次第に大きくなる。


 何かと周りを見渡すと大樹の曲がりくねった枝が伸びていく音だった。魔女の指のようだった枝葉次第に伸びていき、天を仰ぐように上を向く。幹や枝葉から黒い汚れが落ちていき、白い樹皮が顔を出していく。その姿はどこか神聖なもののようだった。


「おお」

「魔物が消えていく」


 大樹の様子が変わると同時に次々と生まれていた魔物は泥人形のように壊れていった。そして最後には魔物一匹いない、静寂がその場を満たした。


「ああ、あなたが穢れを払ってくれたのね」


 どこからともなく声が聞こえる。


「ここです」


 声は大樹から聞こえるようだ。近づいて、手を触れる。大樹からはあたたかい力を感じた。

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