第15話
討伐隊のみなさんもしっかり休めたと言うことで、それからの道のりはかなり順調だった。
そして、最奥と思われる場所に辿り着いたのだった。
「これは……」
「なんと禍々しい」
そこには大樹があった。大樹と言うと神々しいイメージがあるが全くその反対で、黒い幹から伸びる枝は曲がり魔女の指のようだ。周りには澱んだ空気が立ち込めており、その地面からは次々と魔物が現れる。
「くっ、キリがない!」
「どうしますか?」
隊長に判断が仰がれる。
「ちょっと待ってください」
わたしは声を上げた。だってこんなんじゃ可哀想だ。
「掃除する時間をください」
「は」
隊長はポカンとしている。しかしすぐにわたしの能力を思い出し思案を始めた。
「可能性はある、か」
そして隊長が顔を上げる。
「よし、魔物の討伐に注力しろ!」
「僕はトーコさんを援護します」
「うむ」
セーヤくんが背中を守ってくれる。これで掃除に集中できる。
わたしは箒を大樹に向けて掲げる。待ってて。綺麗にしてあげるから。
一世一代の大掃除だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます