第15話

 討伐隊のみなさんもしっかり休めたと言うことで、それからの道のりはかなり順調だった。

そして、最奥と思われる場所に辿り着いたのだった。


「これは……」

「なんと禍々しい」


 そこには大樹があった。大樹と言うと神々しいイメージがあるが全くその反対で、黒い幹から伸びる枝は曲がり魔女の指のようだ。周りには澱んだ空気が立ち込めており、その地面からは次々と魔物が現れる。


「くっ、キリがない!」

「どうしますか?」


 隊長に判断が仰がれる。


「ちょっと待ってください」


 わたしは声を上げた。だってこんなんじゃ可哀想だ。


「掃除する時間をください」

「は」


 隊長はポカンとしている。しかしすぐにわたしの能力を思い出し思案を始めた。


「可能性はある、か」


 そして隊長が顔を上げる。


「よし、魔物の討伐に注力しろ!」

「僕はトーコさんを援護します」

「うむ」


 セーヤくんが背中を守ってくれる。これで掃除に集中できる。


 わたしは箒を大樹に向けて掲げる。待ってて。綺麗にしてあげるから。


 一世一代の大掃除だ!

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