第14話

 穢れから生み出された魔物は凶暴で決して逃げない。十分注意するように。


 おじいさんはそう忠告してくれた。魔物。わたしたちのいた世界にはいなかった存在。一体どんなものなのだろう。


 その疑問はすぐに晴らされた。


「右! そっちいったぞ!」

「了解!」


 狼のような黒い影が群れで襲いかかってくる。わたしのいる馬車が囲まれてしまったようだった。


 外では訓練された討伐隊の皆さんが戦ってくださっている。不安になりながらも信じて待つ。

数分後、あたりは静まった。


「もう大丈夫です。先に進みます」

「はい」


 これが魔物なのだとやっと理解した。武器を持つ人間に恐れることなく襲ってくる存在。改めて恐ろしい道行になることを実感した。


「今日はここで休みましょう」


 隊長が言うと他の人たちは手際良く準備する。今日はここで野宿のようだ。わたしも少し手伝おうと持参した箒を持って外に出る。外はなんと言うか少し空気が悪かった。


「せっかくのお外なのになあ」


 言いながらわたしは掃き掃除をはじめる。陣を張る全体を履き清めたところで気持ちのいい風が吹いてきた。


「んーこれこれ」


 やっと巡ってきた爽快感に胸がいっぱいになる。お外の良さってこれだよね。


「食事の準備ができました」

「ありがとうございます!」


 わたしはありがたく食事をいただいて早々に休んだ。


 起きるとなんだか周りがざわついている。


「どうしたんですか?」

「それが……」


 聞くと昨日は襲撃がなかったのだと言う。いつもなら夜のうちに2、3回は魔物たちがやってくるのでろくに休めないのだと言うが、今回は襲撃がなかったので見張り以外はしっかり休めたと言う。


「これが勇者様と聖女様のお力か」

「いえ、何もしてないですよ……」

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