第12話

「司教様!」


 魔術師さんはおじいさんに話しかける。かなり必死なようだ。


「このものはすごい力を持っています!」


 おじいさんはわたしを見る。


「ああ、このものは……」

「このものは防具の穢れを払ったのみでなく、軽量化や穢れ耐性の付与までやってのけたのです!聖女として次の出立に連れて行くべきでしょう!」


 魔術師さんはおじいさんの言葉を遮って言い切った。詳しいことはわからないが褒められている気がするので胸を張っておく。


「なんと! そこまでとは」


 おじいさんは落ち着いた魔術師さんにわたしが聖女であることを説明した。


「気づかず申し訳ない」


 魔術師さんは頭を下げる。


「いえいえ、最近決まったことですから」


 頭をあげてください、と言うと魔術師さんは申し訳なさそうな顔のまま顔を上げた。そんな顔しないでください。掃除と洗濯スキルがあるだけなんです。


「しかし出立に同行か……妙案かも知れぬ」


 おじいさんは顎ひげを撫でながらそう言った。また何かに巻き込まれている気がする。


「よし。トーコよ。次の出立に同行せよ」


 やっぱりですか。

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