第9話

「そんな、まさか!」


 声をあげたのはおじいさんだ。わたしの掃除の進捗を見に倉庫に来たらしいおじいさんは、慌てたように奥の部屋に入ってきた。そのときわたしは剣を磨いている真っ最中だった。


「あ! すみません! だめでしたか?」


 おじいさんの悲鳴のような声になにかまずいことをしたのかと冷や汗が流れる。わたしのお給金で弁償できるだろうか。


「その剣をよく見せてください」

「はい……」


 わたしはおずおずと剣を差し出す。剣は真っ黒だった時の面影なくピカピカに磨き上げられていた。金色の柄に白金色の刀身は輝いてすら見える。


「なんと言うことだ!」


 おじいさんはばっとわたしを見る。え?泣いてる?


「聖女様だ!」


 もしかしてわたしとんでもないものを磨いてたのですか?


 わたしはおじいさんに連れられて聖堂に着いた。途中おじいさんが若い男の子に声をかけて、男の子は走ってどこかにいった。何かを伝えにいったらしい。


 その結果か聖堂には続々と人が集まってきた。中には一緒にこの世界に来た男の子もいる。わたしは手を振った。男の子も手を振りかえしてくれた。


 たくさんの人が集まったとき、おじいさんは咳払いを一つした。あたりが静まり返る。そしておじいさんは宣言した。


「今日ここに聖剣が蘇った!」

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