第8話
「ここかあ」
倉庫前に着く。木の扉だが大きくて重そうだ。借りた鍵を鍵穴に刺して回す。
がちゃり
「おじゃましまーす」
中は埃くさくてじめじめしていた。掃除しがいがありそうだ。祭礼で使うのかさまざまな道具が置かれている倉庫は相当広い。物を壊さないように丁寧に掃除を進めていった。
「ここって」
相当掃除を進めたところで奥の壁にたどり着く。そこには小さな扉が付いていた。鍵はなく、すんなり開けられる。
『奥の部屋は掃除しなくていいですからな』
おじいさんの言葉を思い出す。してはいけないとは言われていない。スキルのせいか湧き出る掃除欲をわたしは抑えられなかった。
「ん?」
ささっと掃き掃除を終えたとき、一際目につくものがあった。
黒い剣。
柄から刀身まで真っ黒な剣がそこにあった。なぜだが目が惹きつけられる。磨きたい。磨けば綺麗になる気がする。
わたしは持っていた付近で刀身を少し擦ってみた。手を切らないように注意深く。汚れが落ちるように力を込めて。
「あっ、落ちる!」
やっぱり汚れだった。わたしは新しいおもちゃを与えられた子供のように夢中になって剣を磨き上げた。
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