第7話

「すごいですね! トーコさん!」


 話しかけてくれたのはわたしと同じく聖堂で掃除の仕事をしているクロエだ。


「子供たちの病気を治すなんて!」

「そんな! わたしは掃除しただけ」


 治したのは子供たち自身の治癒力だ。わたしはその手助けをしただけだった。


「でもまるで聖女様だってみんな言ってますよ」

「聖女さま? 大げさな……」


 聖女様と言えば聖なる魔法でなんでも治してくれるイメージだ。そんな大層なことはしていない。


「トーコさんを見習ってわたしも掃除頑張ります!」


 クロエは張り切った様子で立ち去っていった。その日はクロエ以外にも褒めてくれる人が多く、わたしは照れくさかった。


「トーコさん」

「はい」


 おじいさんに声をかけられた。ちなみに気安くおじいさんと内心呼んでいたが実はすごく偉い方らしい。


「ちょっと頼みたいことがあるのです」


 おじいさんは鍵束を取り出しながら言う。


「倉庫の掃除を頼めますかな」


 一つの鍵を渡された。それは重たく大きい鍵で、ずいぶん年季が入ってそうだった。


「わかりました!」


 掃除となればなんでもやらせてもらいます。


「あそうそう」


 おじいさんは言い忘れていたとばかりに人差し指を立てて言う。


「奥の部屋は掃除しなくていいですからな」

「はあ……わかりました」


 部屋があるなんてずいぶん大きい倉庫なのだろうか。わたしは掃除用具を持って倉庫に向かった。

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