第3話
「そこで、さっそくなのだが」
おじいさんは綺麗な水晶玉を取り出した。
「ここに手を置いてほしいのです」
先に選ばれたのは男の子だった。男の子は怪しいと思ったのか躊躇している。
「これは触れたもののスキルを見る道具です」
おじいさんが説明する。男の子はおずおずと手を置いた。あたりに優しい光が立ち込める。すると周りの人々が感嘆の声を上げた。
「剣と聖魔法のスキルです!」
おじいさんが高らかに宣言するとその声はさらに大きくなった。中には「勇者様!」と叫ぶ声も混ざっている。
「勇者様、こちらに」
何人かが男の子を奥の部屋に案内する。男の子は戸惑うようにこちらを見たが、何もできることがないのでひらひらと手を振った。
「あなたも手を」
次はわたしの番だ。こんなことになったからには仕方ない。わたしは心の中でえいやっと言って水晶玉に手を置いた。あたりに優しい光が立ち込める。すると周りの人から感嘆の声が……上がらなかった。
「掃除と洗濯のスキルです」
おじいさんが宣言するとあたりは静寂に包まれた。
え、掃除と洗濯のスキルですか?
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