第2話

「いたた」


 気づくと硬い床の上に倒れ込んでいた。周りからは「おお」だの「ああ」だの人の声が聞こえてくる。


 辺りを見回すと数歩先に男の子が座り込んでいるのが見えた。よかった。怪我はないようだ。


「すみません、ご両人」


 渋い声で語りかけてきたのはローブのおじいさんだった。わたしと男の子に話しかけているらしい。


「ご両人を召喚させていただいたものです」


 召喚?ここはどこなのだろう。いまいる建物は聖堂のような壮麗な作りをしている。


「この国を救ってほしいのです」


 救うなんて大層な言葉が聞こえた。どういうことだろう。


「あの、ちょっといいいですか」


 わたしはことのあらましを聞いた。

 ここはわたしたちがいた世界とはちがう世界のクラエスタという国で、謎の「穢れ」に犯されているらしい。


 言い伝えによるとその「穢れ」に対抗できるのは異世界の勇者であるとのことだった。そこで異世界から召喚する術式を発動させ、召喚されたのが男の子とわたしということだった。


 なんということだ。異世界転移してしまった。

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