第35話
「ここが最深部か...... 中に魔力を感じます」
目の前に大きな扉があり、中から巨大な魔力を感じる。
ぼくたちは二十階層までモンスターを倒しながらやってきていた。
「ええ、おそらくここね......」
「なぜこんなところに封印の指輪があるのですか」
ガルバインさまはそう聞いた。
「......かつての大戦で使った魔法道具を封じるためにあるそうよ」
「魔法道具?」
「確か、国を滅ぼしたとされる禁忌の魔法道具...... 本当に存在していたのか。 てっきりおとぎ話だとばかり思っていたがな」
ガルバインさまが腕組みしている。
「国を滅ぼした...... そんなものが」
「あくまでも伝承...... といいたいけど、確かに古代の国が滅んだという文献はのこっているわ......」
そういって王女はもってきていた鍵を鍵穴に指す。 そして魔力を使ったのだろう鍵が光輝き、大きな音が遺跡に響いた。 すると何十にもあった仕掛けが忙しく動き、大きな扉が開いた。
「これは確かに鍵なしでは無理だな」
奥には祭壇のようなものの上に女性の姿をした像があり、右手に杖左手の手のひらに指輪がのっている。
「あれが......」
王女が歩いていこうとする。
「お待ちください......」
ガルバインさまが剣をぬいてふりかえる。
ぼくの毛も逆立った。
「いるんですか......」
「ああ、いま見せる」
ガルバインさまが懐の魔鉱石を握ると、扉のところに複数のローブをまとうものたちが見えた。
「またですか......」
「ああ、まただ」
「なによ...... こいつら」
「ガルバインさまの領内で、ぼくたちは殺そうとしてきたものたちです」
「......なんでそいつらがここに」
「きます!」
フードのものたちは剣をぬいて、素早くはしりよる。
ぼくは魔晶剣をにぎる。
「そいつは妙な剣をつかう! 侮るな」
そうリーダーらしきものがそういった。
(やはりあのときにいた奴らか...... 十人はいる......)
「今回は前のようにはいかない!」
「ガルバイン補助はわたしがする、とめて!」
「わかりました!」
ガルバインさまが横にはしり、王女のプロテクションなどで強化され四人を相手どる。
(ガルバインさまは大丈夫か! こちらに六人)
「王女! ブレイズダンスを!」
「わかったわ! 炎よ渦巻いて、燃え盛れ ブレイズダンス!」
炎が渦を巻き前のものたちを包む。
「くっ! この炎!! 凍てついて、壁をつくれ! アイスウォール!」
相手は何人かで氷の壁をつくった。 炎が防がれる。
「もう少し! 頑張ってください!」
「わかってる!」
王女が魔力をこめ壁を溶かす。 その間に魔力を魔晶剣に流す。
「いけ!【猫髭槍】《ウィスカーランス》」
ぼくは魔力をこめた魔晶剣を槍のようにのばし、その薄くなった壁をうちぬく。
「ぐわっ!」
「がはっ!」
魔法を使っていて無防備なものたちは吹き飛ぶ。
「ガルバインさま!」
「おお!」
ガルバインさまはしゃがむ。 ぼくは遠心力を使って棒でなぎはらう。
「がっ!」
「ぐぅ!!」
ガルバインさまと戦っていたものたちは、虚をつかれその棒で吹き飛んだ。 土煙がまい、それが消えると全員倒れていた。
「やっわねトール!」
「その剣はいったいなんなんだ......」
ガルバインさまは驚いている。
「さて、指輪は...... なっ!」
王女は驚きの声をあげる。 その声でローブのものたちを拘束していたぼくたちは振り返った。
「どうしました......」
「杖がない......」
女性の像から指輪はあるが、杖がなくなっている。
「おい......」
ガルバインさまがいう。 その前にいたローブのリーダーとみられる者の体が透けていった。
「やられたわね...... 分身ね」
「魔鉱石をとめたとき入れ替わったのか。 そして杖をとられた」
「ええ、あれは【喰魔の杖】...... あいつら、最初からこれを狙っていた」
「どういうことです...... あの魔法道具を狙っていって」
「あれは魔力を奪う杖よ...... でもいまは指輪を手に入れて帰りましょう。 まずは戦争を止めるのがさき」
そういって王女は指輪を手にした。
「魔力が近づいてくる......」
「なに、敵か」
ガルバインさまは剣を構える。
「いえ、この魔力は......」
「アシュテアさま!! ガルバインさま!! トールどの!!」
怒りに満ちた声が近づく。
「きたリディオラさんだ!!」
「あなたたち腹をくくりなさいよ!」
「わたしもですか」
そのあと現れたリディオラさんに三人ともつかまり、お説教されることとなる。
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