第32話
ぼくは一度逃げたあと、夜になってから再び町にはいった。
(魔力をとく魔鉱石の効果はなくなった。 なんとか魔力と姿を消せてるな)
そして前にきた裏路地を歩いた。
(必ずくるはずだ......)
その予想どおり、そこの暗がりからガルバインが現れる。
「やはり、きましたね」
ぼくは姿を現す。
「ああ、お前とあったのはここだからな。 少し聞きたいことがある」
「ほくもです」
「まず、青い瞳の娘、お前はそういったな」
「ええ、ですが、あなたもしらないようす。 だからその事を詳しく聞きたくて......」
そういうとガルバインはうなづく。
「そのものとどこであった」
「ぼくが追っていた貴族と思われるものと一緒に行動していて、この町の魔法結界で見つかり襲われました」
「貴族...... そのものは何者だ」
「わかりません...... 姿を消していて、バルデスというものと通じていた貴族らしいとしか......」
「......バルデス、商人だな。 聞いたことはある」
そうガルバインは考えるようにいった。
(やはりこの人はバルデスと通じてないのか、ぼくに嘘をつく必要はないはず...... とはいえ一応ブラフの可能性も考えよう)
「それで、あの青い目の少女は何者なんですか」
「おそらく私の妹だ......」
そう口にした。
「えっ!? 妹」
「ああ、かつて何者かに王であったわが父と母が殺された。 その時、妹はさらわれたのだ。 それ以来探している。 もう十年になる」
「そんな、でも目だけであのこが妹かは......」
「いや、あの青い目は特殊な魔力を秘めた目だ。 この世界でもとても珍しい。 母と妹、ミネルバしか持たない」
「あのこはミネルバというのか...... でもあのこは洗脳の魔法を受けてるって......」
「それは本当か!」
ぼくの肩を揺すりながら、ガルバインは焦っていった。
「え、ええ」
ぼくは王女たちから聞いた話をした。
「......何てことだ。 洗脳魔法...... まずは会わねば...... それでお前はなんのためにここにきた。 なぜ俺の城にいた」
どうしようか迷ったが話をすることにした。
「ガルバインさま。 あなたは本当に内乱を起こそうとしているのですか」
そうぼくは直接聞いてみた。
「内乱...... いやそんなことは考えてはいない」
その目には嘘を感じない。
「......だが、武器を集めていると聞いています。 それはなんのためですか」
「いいや、逆だ。 王女がこちらに攻撃をしようとしていると話があった...... なるほどやはり、お前は王女の間者か。 そして、どうやら互いに何者かの策謀が関与しているようだな」
そういって剣をぬき後を振り向く。
「どうしたんです!?」
ガルバインは懐から魔鉱石を出した。 前後から複数の剣をもつローブのものたちが現れた。
「なっ!? 隠れていたのか」
「こいつらかなりの手練れだ。 やれるか」
「......自信はないですが、やるしかないですね」
ぼくも魔晶剣をぬいた。
「貴様ら何者だ。 私がガルバインとしっての狼藉か!」
そうガルバインさまが声をあげるが、無言で剣をもつものたちが動く。
(速い!)
「やはり、しっていて襲ったのか!」
ガルバインさまとぼくは、襲ってきたものたちと互いに剣を打ち合う。 暗がりに金属音が響く。
(かなりの剣の使い手たちだ! 強い! しかも十人はいる...... ガルバインさまは強いが、相手が多い、押されているな...... どうする。ぼくだけならこの建物を飛び乗っていけるが...... なんとかガルバインさまも逃がさないと......)
左右には高い建物があり前後からはさまれていた。 ぼくたちは背をあわせ攻撃をかわして打ち合っている。
「くっ! これでは片方を相手にして逃げることもできん......」
ガルバインさまが背をあずけいった。
「ええ、後から襲われます。 ......ガルバインさま、魔鉱石を解いて合図したらぼくにおつかまりください」
「......わかった。 なにか策があるのだな」
だんだん距離を狭めてくる敵の攻撃をなんとかしのぐ。 そして、狭まったときをみはからう。
(よし、いまだ!)
剣に魔力を込めた剣を握る。
「いまです!」
ガルバインさまがつかまると、ぼくは建物の屋根にネコの手のようにした魔晶剣を伸ばし縮めた。 体が上昇を始める。
「なっ!」
「にがすな!」
下からナイフのようのものをはなってくるが、ガルバインさまがそれを剣で弾く。
ぼくたちは屋根に登り、他の屋根へとうつっていった。
「城までいきますか」
屋根の上を移動しながら、ガルバインさまに聞いた。
「いや、おそらく辿り着くことを阻止するだろうな。 近づけば囲まれる、次は逃げ場はない。 外にでよう」
了承して町の外へにげた。
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