フェイト・プシューケー 〜戦禍の華蝶姫〜

風宮 翠霞

プロローグ

第1話 地獄に死神

そこに救いは無かった。


勿論自由など、あるはずも無かった。


たった一つ、たった一瞬の油断が、失敗が。


命取りになるような。


生きながらに死んでいる様な。


まさに地獄のような場所。


だから。


「◾️◾️◾️」


自身に向かって真っ直ぐと伸ばされた。


死神の手を取った。


自分の最期くらい、自分で決めたかったから。


母や、兄と同じ様に。


する事になるなんて、御免だったから。


例え。


この先どれほど手を汚す事になっても。


この先歩むのが、地獄など生ぬるいと感じられる世界でも。


私は自分に誇れる生き方をしたかった。


私は胸を張って死ねる生き方をしたかった。


美しいという言葉をそのまま形にした様な死神は。


彼は。


私の言葉に、満足気に。


妖艶に微笑んで。


私を地獄の底から連れ出した。

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