「坂をのぼる、ギターを持って」

@myzwlike

第1話

変わる変わらぬ確かめるこの朝をテーブルの上の変わる温度と


あたためるシナモンロールいまはなくコーヒーだけを片手に持って


朝と夢昨日のことと思い出すなぜできたのか忘れぬ内に


ドアを開け昨日はあった今日はない好きを忘れるほどの海は


本当の感覚知らず波の際靴脱いでまで砂を踏みしめ


光る金具のケースを見やる錆びたチェーンに追い抜かれては


屋根のない車の音の響く朝七里の浜辺越えてここまで


月の虹目を閉じてなお見えぬもの夏の日差しは目を閉じずとも


いつものも思える場所は帰る場所いつもの香りに誘われるまま


たくさんの命の上にある命日差しの中へ頭を下げて


カラフルに満ちる世界はそこにあるいつまでもそこにいつまでもそこに


この風はどこから来たのか坂道の真ん中あたりこの家の中


音もなく光もない部屋声出さぬギターただ座る椅子


手放すと手に入れるとは幾度なく見つめる先にあるはずのもの


夏の雲呼吸の止まる一瞬を見た何を見たのかわからないけれど


ゆるむものゆるまないもの夕日受け重い荷物を抱えて今日も


上る下るのその先を思うから朝に上り夜に下る


凪の海ただそこにある風景を見ての通りと歩き疲れて


帰り道電車の音に紛れつつ近い明日と傍に居る昨日


風が吹く同じに見える今日の日のみんなが聴いてる今日の音を

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