第8話 城の一日
マルセルは小さな部屋に誘われた、部屋には白衣を着た人形が居て、
「名前はわかるかな?」
「マルセルです」
バカにしてるのかとさえ思った。
「霧迷宮は知ってる?」
「知りません」
医者は考え込む様に、芥川龍之介みたいに顎に手を当て、
「じゃあ、馬車に乗るまでのこと言えるかな?」
マルセルは覚えている限り、精密に話した。
「うーんじゃあ、問題ないかもなぁ」
「その、霧迷宮ってなんですか」
「そうだった、そうだった、霧迷宮は待ってればすぐにわかると思うけど、付いてきて」
医者は部屋を出て、窓の前にマルセルを連れて行った。
窓の外は濃い霧で、きっと伸ばした手のひらが見えなくなるだろう。
「何も見えないんですけど」
医者は小さく窓を開けた。すると霧の中から長い鼻の様なものが現れた。マルセルはギョッとして指差しながら聞いた。
「これは......?」
「これは獏だよ、記憶を吸うんだ、獏に記憶を吸われちゃあ記憶がなくなってしまう、だから君はもしかしたら記憶を既に食われちゃってんじゃないかなぁと、思われて連れてこられたってわけ、危なかったね、たまに居るんだよ起きたら全て忘れちまってる奴」
鼻の長い豚みたいな小さいゾウみたいな獏は、窓越しにベフベフ鳴いていた。
医者は小さく開いた窓を閉め。
「まぁもし旅をするなら、獏対策はしっかりとね、記憶もなく漂うことになるから」
朝が来た時マルセルは獏を思い出した。医者は獏ならもう大丈夫言った。しかしマルセルにはこれからどうすれば、他の塔を回る際にどうすれば獏に遭遇せずに済むかという悩みがあった。
「獏はどうすれば防げるんですか?」
「きっちり締まった部屋の中にいれば安全だよ、それ以外に対象法はないよ」
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