第3話 海凪


大仏おさらぎ先生?よろしいかしら?はじめまして。英語主任の海野凪沙うみのなぎさです。よろしくお願いします」


「やぁ。すごい美人ですね!眼福だよ!こちらこそよろしく」


「私は、初対面の人にはね、名前から連想する単語は何でしょう❓てクイズをよくするの。分かる?」


「ええ?」


おれは名刺を眺めた。


「海、凪?…わかった!Pacific Oceanだ! 太平洋のいわれは凪ぎの海、だからね」


「ご明察!さすがは英語教諭ね。女は凪ぎの海みたいな寛容で豊穣な存在であれ、ていうおじいちゃんの願いが込められてるの」


「素晴らしい!感動しました。ボクは長男で、まあ健康で、平凡でもいいから強く逞しく育って欲しいという来歴らしいです。まあ太郎だとあんまり性格が曲がったりはしなさそうでしょ?三好達治のポエムなんかも素朴でいいよな~」


「太郎を眠らせ…ていうのあるね。和魂洋才で、私らは洋才担当やけど和魂が大事だから、生徒指導は知識じゃなくて、人格の涵養が肝要…ワタシのそれがモットーなの。」


「ウーン。それも素晴らしい!海野先生!気に入りました。一生ついて行きたくなってきました。」


「HAHAHA!ウケるーアンタ案外軽薄なんやね」


海凪うみなぎ」とあだ名をつけた若い女史は、才走った感じの?剽軽な先生らしくて、話しやすくて愉快でもあり、楽しい学園生活になりそうな予感がした。



「つづく」

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