エイチ・ツー・オー

識織しの木

エイチ・ツー・オー

噴水が溶けた砕けた炎天下


公園の水道水で血はほどけ


学校の思い出せないプールの香


雪に埋もれたクッキーとレモンティー


岩洗う川の流れに置いていかれ


薄絹のカーテンやさし雨の路


朝窓は結露の天然石つけて


窓越しに水滴の行方をなぞる


撥ねられて飛沫になった水溜り


雨水の汚れたとこで目を洗う


雹叩く車の屋根もアスファルトも


てっぽうの中の罪なき水落ちた


我が胸は洪水の音をまだ聞かず


割れるなよ溶けるなよ我が薄ら氷よ


大海を知って藻屑と沈むから


また同じ蛇口を捻る。捻る。捻る。


流氷に乗れば何処いずこへ行けるのか


湯気の中手指てゆびは現でなくなるか


火葬されともに大気に溶け込んで


目映くてその身軽さが自在さが

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