第7話 ハーレムクラッシャー
村正が圭の元へやってきた日、ある問題が浮上する。
村正を神社に祀るか、顕現した姿で過ごさせるかだ。
どちらになろうと私と圭くんはいつも一緒♡
と思っていたが、友紀恵の言葉と共に村正は
「今まで閉じ込められてたのでしょ、自由の身とはいえ祀るのはかわいそうじゃないかしら」
「圭の刀となったのだし、うちで過ごせばいいんじゃない?」
はぁはぁ♡ 圭くんと一緒に暮らせる♡
さすがお義祖母様ね、瞬時にそばに行けるから、どこにいてもお風呂に一緒に入ろうとか一緒に寝ようとか色々考えていたけどまだまだ私は甘いということね。
そうよね、すぐにそばに行けることと一緒に暮らすのでは全然違う!
恋愛経験が無いから気付けなかっただけ、少し落ち着かなきゃ。
はぁ♡ 圭くんと同棲♡
知らずにアクセルを
その日の夜、村正は圭の両親との挨拶を済ませて長谷川家に住むことになる。
圭のそばで一緒にタブレットで動画を見たり、夕食の時には話題に花を咲かせ、一緒にお風呂は止められたが力を使って覗いたりと充実していた。
圭は今まで祖父母と3人で川の字で寝ていたが、そこに村正も加わりこの日から4人で眠ることになる。
隣で圭くんが眠ってる♡
圭くんの寝顔がかわいくてずっと見てられる♡
私だけの圭くん♡
翌朝、圭は幼稚園へと向かい村正は神社へと向かう。
もちろん神社へと行くのは後ほど圭と遊ぶため、そして
幼稚園で過ごす圭の監視、もとい見守りは怠らない。見るのは当たり前のことだから。
そうして時間は過ぎていく。
「圭くん、おかえりー!」
「むらまさちゃん、ただいまー!」
そして即座に圭の手を握る。
幼稚園は何であんなに触れ合いが多いのかしら。
圭くん、ちゃんと匂いも感触も私で上書きするからね♡
「圭、遊びに来たわよっ」
「圭くん、おかえり」
「エルナお姉ちゃん、アイナお姉ちゃん! ただいま!」
「エルナお姉ちゃん、かげから出てこないのはどうしてー?」
「アイナと近くで会ったから、一緒に来ただけよ」
チッ、来たわね外来種!
「エルナさんにアイナさん、はじめまして。付喪神の村正と申します」
「圭くんをそばで守るお役目を頂いており、お二人のことも存じております」
この子っ!
「殺気、飛ばしてるんじゃないわよっ」
「一瞬、首が飛んだのかと錯覚しちゃったわ」
「圭くんお守りする身としては惑わす存在など危険なだけですから」
「村正とか言ったわね、圭がそばにいるのに殺気なんか飛ばして怖がられるわよ」
「いいのかしら? 圭くんにそんなことを聞かせて、お姉ちゃんとしては見過ごせないのよ」
「問題ありません、圭くんとはパスが繋がってますし私の力で圭くんには
「私は元妖刀村正、今は圭くんだけの村正。同棲し♡ 一夜を共にし♡ 朝の見送りも、お迎えもする仲♡ ふふっ♡」
この子、危ないわ。
圭くんのお姉ちゃんとして見過ごせない!
ただでさえ、エルナが来てから抱っこする機会が減ってるのよ! 同棲に一夜を共にだなんて、お姉ちゃんの私ですらまだ圭くんを抱きしめて眠ったことないのに!
「村正ちゃん、圭くんにはお姉ちゃんである私が色々教えてあげないといけないし、見守っていく役目があるわ」
「年増」
!?
「な、なにを言ってるのかしら?」
「お義祖父様とお義祖母様くらい力があれば普通に気付いていると思いますよ、魔女の秘薬で若返っていることぐらい。圭くんも成長すればすぐに気付くようなことです」
「歳のことを言うなら付喪神だってそうじゃないのかしら」
「私は自身の歩んできた道が全て圭くんのためにあったと誇りに思ってますし、すぐにわかるようなことを取り繕ったりしません」
村正ちゃん、恐ろしい子。
私と圭くんとの幸せな姉弟ライフにこんな強敵が現れるなんて。
「なにあっさり負けてるのよっ、
ちょっとだけ横たわっていいかしら、少し疲れたわ。
「アイナ! もう、役に立たないわねっ」
「村正、あんたはやばいわ。少しわからせてあげるっ!」
村正の漆黒の瞳が、覗き込むだけで囚われてしまいそうな闇を纏う。
一方その頃、圭はというと何かしている三人の元を離れて一人でお絵描きをして遊んでいた。
「あっぶな、いきなり斬撃飛ばしてくるんじゃないわよっ!」
村正 VS エルナ戦
開幕っ!
ノーモーションで斬撃飛ばしてくるなんて正気!?
うん、あの目はあの子にとって平常運転そうね。
「避けるとは、中々にやれるようですね」
「村正!
「問題ありません。これは圭くんを惑わす者だけしか斬りませんし、圭くんの居場所を壊して悲しませるようなことするはずがないでしょう」
圭への愛ゆえにずっと行動を監視しているがそれはそれ、これはこれ。
ガキンッ
「それがあなたの剣ですか、血を自在に操るなんてヴァンパイアらしいですね」
「ですが! 近接戦、しかも刃の交わりで勝とうなど!」
剣戟の音が鳴り響き止まない。
「村正、あんたやるじゃないっ」
「色々織り交ぜてくるなど何て姑息な、まさかここまでやれるとは」
「「あっまずい」」
二人は即座に行動に移す。
「何をしておったのじゃ」
「お義祖父様、エルナ姉様に色々と教えてもらってました」
この子、普通に手を繋いで来たわね。
それに乗っかった私もどうかと思うけど。
「村正と話してただけよっ」
「そうか。圭、ばあさんが帰る支度をしておるぞ」
「わかった、むらまさちゃんいこー」
「うん! 圭くん、帰ろー!」
去り際、2人は視線を交わす。
いずれ斬ります。
えぇ、受けて立つわ。
「お義祖母様、帰ったら夕食の準備をお手伝いさせて下さい!」
村正のやつ調子いいわね、とりあえずアイナ引きずって帰らないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます