終夜

(クール猫系童顔イケメンの)終夜猫耳カチューシャ概念を流行らせたい

終夜「やだ」

白夜「お願い!!!!」


猫耳カチューシャを片手に持ちながらお願いしてくる白夜を、即決で断る

せっかくご飯も食べ、今日1日をどう過ごそうか考えていた頃に、突然廊下のど真ん中で猫耳カチューシャを被ってくれとお願いされたら、誰でも断るであろう

おい、(> <)みたいな顔しても無駄だぞ


白夜「お願いだよ〜終夜〜」

終夜「無理なものは無理だ、他をあたれ」


これ以上争っても埒が明かない

多少強引だが、区切りをつけその場を立ち去ろうとする、俺の猫耳とか、誰に需要があるんだか教えて貰いたい

……だが、なんだかいい匂いがする

白夜の方からか?俺はその匂いにつられ後ろを振り向く


白夜「被ってくれたら、煮干しをあげようと思ったのに〜?」

終夜「っ!?」


に、煮干し……!?

こいつ……煮干しを手中に収めてやがった!

ニヤニヤと笑いながら言う白夜に対しての苛立ちと、煮干しが発する独特な匂いに俺の脳はぐちゃぐちゃになっていた

だが、いくら煮干しがあると言えど、ここで尊厳を失うのは……


白夜「どうする〜?これ被れば、煮干しあげるのにな〜?」


こいつぅ……!

煮干し……煮干しがある……

朝からストックが切れてた煮干しがある……

……そうだ、一瞬被ればいいんだ

一瞬……一瞬被れば……

俺は俺を納得させようと心の中で呟き続け、無言で白夜が持っているカチューシャを手に取り、それを被る


そして2秒程で外しカチューシャを投げ捨て、白夜の目の前に手を差し出す


終夜「やったぞ!煮干し!」

白夜「……まだ」

終夜「……は?」


白夜はグンッと体を俺の前に出し、「にゃーって言って!!!!」と大きな声で叫ぶ


終夜「無理だ!」

白夜「じゃあ煮干しはお預け!」

終夜「それも無理だ!」

白夜「我儘禁止!」


我儘言ってんのはどっちだよ……!

俺はギリギリと歯を食いしばり、煮干しに支配された脳をフル回転させる

あの声じゃ、人が集まってきてしまう

なら、早くにゃーって言って煮干しを貰えばいいだけじゃないか?

この間僅か0.7秒の思考

だが、脳で理解しても、体が拒絶する


白夜「ほーら!人来ちゃうよ!」

終夜「……くっそぉ…!」


もうどうにでもなれ!

意を決した俺は床に落ちているカチューシャを再度取り、フードを脱ぎ、頭にカチューシャを乗せ、そして


終夜「……にゃ、にゃぁ…」


と、一言鳴く


白夜「ん!ありがと!はいこれ煮干s「煮干し!!!!」


俺は半ば強引に白夜が持っている煮干しのパックをぶんどり、それを食べる

美味い……拷問猫耳カチューシャに耐えた甲斐があった…

1つ1つの煮干しを噛み締めて食べ、そして数分すると煮干しが全てなくなってしまう

だが、元はストックが無くなっていたものだ

そんなものにあり付けられたのだから、良しとしよう


終夜『にゃ、にゃぁ……』


すると、後ろから俺の声が聞こえる

しかも、その声が、さっき俺が言った猫の鳴き声の音声だった

俺は滝のような汗が湧き出てくる

恐怖と、気の所為という感情を隠しながら、後ろを振り向き白夜に問う


終夜「い……今の……は…?」

白夜「え?」


さ ︎︎っ ︎︎き ︎︎の ︎︎鳴 ︎︎き ︎︎声 ︎︎だ ︎︎よ ︎︎?


聞きたくなかった言葉を聞いてしまった

まさか録音されているとは思いもしなかった

俺は地べたに伏し、ブルブルと身体を震わせる


その後の事はあまり覚えてない

覚えているとしたら、その後駆けつけた皆に撫でられ可愛いと愛でられたという事だけだ


そして、皆から度々猫耳カチューシャをつけて欲しいと言われるようになり、その都度頭を撫でられていることは、想像に難く無いだろう


取り敢えず、白夜


マジで殴るからな

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