天斗多め

天斗「猫」猫「ニャーン!」

〜現在地:流星街〜

〜天斗視点〜


昼の12時13分、燦々照りの太陽がギラつく

いつもは夜に巡回する俺だが、今日は久しぶりに昼の流星街を巡回する

しかし、巡回するにしても、照りつける様な太陽のせいで喉が渇く

所持金は今200円ぴったし、すぐ近くにはスーパーがある

しょうがない、泣け無しの金を使ってジュースでも買うか、と思い、俺はスーパーの方へと向かうことにした


???「ニャーン」


すると、右隣の路地の方から鳴き声がする

俺はそっちに目を向け、その声の正体を探ることにする

トコ、トコとアスファルトから音を出し、その声へと向かっていく

そして、そこには


猫「ニャーン」

天斗「……猫か」


寝転がっている、黒が混じった三毛猫が居た

俺はホッと溜息をつきながら屈み、猫に問いかける


天斗「おーい、お前迷子にでもなったのか」

猫「ニャーン」


俺は猫の問いかける

猫はニャーンと言うだけで、俺の問いには答えない、まぁ、至極当然の反応だろう

俺は無意識に猫の頭を撫で、猫もそれが満更ではないよう、「もっと」というように、俺の手に頭を押し付ける、人懐っこい猫だ


天斗「ははっ、可愛いな」


すると、猫のお腹から「グゥー」と言うお腹の音が鳴る

少しギョッとしたが、直ぐにコイツがお腹を減らしていることに気付く


天斗「お前、腹減ったのか?」

猫「ニャーン…」


どうやら、声のトーン的に当たってるようだ

どうにかしてやりたい、俺はポケットから小銭を取り出す


天斗「……200円か」


すぐ近くにスーパーがある

……あの有名な猫のおやつは確か、180円くらいか

俺は猫と小銭を交互に見た後、猫を一撫でし

スーパーに向かい歩き始めた


数分後、おやつを購入した俺は、先程の路地に入る


天斗「ほら、食え」


俺は封を開けたおやつを猫の目の前に差し出すと、猫はクンクンと匂いを嗅いだあとぺろぺろと食べ始める

膝で頬杖を付き、可愛いなぁ〜と思いながら

眺める


そして猫はおやつをひとしきり食べ、ゲプっとゲップを出し満足な顔をする


天斗「……さて、コイツの飼い主探すか」


満足そうな猫を抱き抱え、路地から出る


天斗「まずはどこから探すかな……」


左右を見渡し、こいつの飼い主を探し始める


少年「あ!クロ!」


と、その時、左の道の方から少年の声がする

俺は声に反射で反応し左を向くと、少年がこちらに向かい走ってくる姿が見えてくる


天斗「君は?」

少年「ん?あ!……えっと」


目線を泳がせるが、猫をチラチラと見ている

多分、この子が飼い主だろう

猫もこの少年を見て「ニャーン」と力強く鳴いている


俺は片手で少年の頭を撫でる


天斗「この子、君のか?」

少年「あっ、えっと……はい!」

天斗「そっか、もう目を離しちゃダメだぞ」


そう言い、猫を少年に抱かせる

少年は「クロ〜心配したぞ〜!」と無邪気に笑いながら言う、俺もそんな姿に、無意識に微笑んでしまう


天斗「あと、これ」

少年「ん?」


俺はポケットから、残ったおやつを少年に手渡しすると、少年は「お兄ちゃん、良いの?」と不思議そうに言う


天斗「あぁ、その子に食べさせてやりな」

少年「っうん!」


俺の言葉に元気に返事をする少年に

俺はもう一度頭を撫でる


少年「あ!そろそろ帰るね!」

天斗「あぁ、またな」

少年「またね!お兄ちゃん!」

猫「ニャーン!」


そして、少年は俺に手を振りながら帰って行った


天斗「……帰るか」


俺も帰ろう、そう一言呟く

手元に残ったなけなしの小銭をポケットに入れ、少年と猫の幸せを願い、俺はアジトの帰路へと着いた

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