第379話 高いよねぇ……
さて問題です。
エルフ達は一体何枚のピザを食べたでしょう?
答えは、お前は今までに食べたパンの枚数を覚えているのか? でした。
まぁ、冗談はさておきまして。
普通に食い過ぎだと思うの。
多分、一人三枚くらいは食べてたんじゃないか?
途中から包みピザに変化していったし。
「ふぅ。何でも美味かった」
「カケルの用意した生地と、こちらで用意した食材の相性がすこぶる良かったな」
「『――』の肉も美味かった。……が、やはりピザには脂がある肉の方が合う」
「シチューとかにすると美味しそうでしたね」
今回の異世界肉――ヒツジナゾニクなんだけど、どうにも煮込みたい衝動に駆られる。
別に肉が固いとかじゃあなく、こう……煮込んだら美味しいと俺の魂が叫んでいるんだよね。
「カレーにはどうだ?」
「美味しいと思います。煮込むと固くならないかだけが心配ですね」
一応、最初に塩茹でした時はそこまでじゃなかったけどさ。
煮込み続けると固くなる肉ってあるからねぇ。
「なぁ、カケル」
「どうしましたマジャリスさん?」
「カレーはピザに合わないのだろうか?」
この何気ないマジャリスさんの一言に、俺とラベンドラさんに電流走る。
「カレーソースのピザ……確かにありますね」
「やはりか……」
「スライスしたポテトをたっぷり乗せて、ホクホクポテトにたっぷりチーズ。カレーの美味しさをピザ生地に乗せるんです」
「じゅるり」
「もちろんシチューをピザに乗せても美味いでしょう。そうなると具材はキノコ類が欲しいですね」
「ゴクリ……」
ご飯……食べ終わった後なんだよなぁ。
なんでこう思いつくかね。
「カケル……すまないのだが」
「カレールゥとシチューのルゥですね?」
「読心術か?」
違います。
学習と経験から生じる未来予知にすら到達しうる人間の知恵です。
……言い過ぎました、メタ読みです。
「こちらどうぞ」
というわけで引き出しから未開封のルゥ達をラベンドラさん達に手渡し。
「お主も悪よのぅ」
「お代官様ほどでは」
……いや、翻訳魔法さん?
何変な翻訳してるの? 思わず乗っちゃったじゃない。
しかも乗られたラベンドラさんは、何言ってんだコイツみたいな顔で俺見てくるし。
お前が始めた物語だろ。
「さて、残るはデザートだが……」
「クレープは窯で焼きます?」
いつも通り、マジャリスさんから始まるデザートタイム。
で、興味本位で聞いてみたんだけど、
「いや、普通に焼こう。そちらの方が失敗が無いだろうから」
と言われ、いつものリビングへ。
……あの。
「あのゴーレムは?」
ゴーレム片付けないんですか?
「動けませんし、害はありませんので置いておこうかと」
「窯はあると便利じゃぞ」
「いや、そういうわけでは無く……」
残すの? 異世界産ゴーレムを現代に?
「餌さえ定期的にやれば非常に協力的だしな」
「餌いるんだ……」
ゴーレムに餌っているんだね。初めて知ったよ。
……思えば、初めて飼うペットかもしれない。
――ペットってくくりなのか? ゴーレムって。
「ちなみに餌って言うのは……?」
「土ですわ」
「土……」
「窯の部分に入れてやれば、勝手に食う」
「はえー」
もうこの辺から思考放棄よね。
さて、明日追加で買ってくるものが増えたな。
土……土? ホームセンターとかにある腐葉土とかでいいのか?
「それで? 今日のクレープの具材は何だ?」
「あ、はい。かなり奮発しましたよ」
というわけでクレープ生地をラベンドラさんに渡し、焼いて貰ってる間に買って来た具材の説明をば。
「まず果物系から。苺は前に食べたことがあるので省きますけど、これがメロン。瑞々しく、そして濃厚な甘さで確実に美味い奴です」
「ごくり」
苺はとちおとめを買って来た。メロンはどどーんとマスクメロン。
それをヘタ取って、縦に半分に切ってある。
メロンは半分に割ってタネを取り、そこから果肉をくり抜いて角切りに。
メロンって初めて買ったけど、やっぱり高いね。
まともに食べたのなんて入院中にお見舞いで貰った時くらいだもん。
「どんな味かわからないと思うのでお一つどうぞ」
というわけで、角切りしたメロンにつま楊枝を指し、それぞれ四人に渡してあげる。
「香りが強い」
「甘みもギュッと凝縮されたような甘さですわ!!」
「噛んだ瞬間の果汁の出方が半端ないわい!」
「キャッチマイハート!!」
ベリーメロン。
なんで知ってんだ。
翻訳魔法さん、どこで日本語勉強したの?
「生クリームとも合いそうでしたわね」
「アイスともな!!」
と、興奮冷めやらぬ間に続いての果物。
なんと贅沢にマンゴーも買って来てみました。
……時季外れなだけにクッソ高かった。
少なくとも、これは自分用にって買うような代物じゃなかった。
ありがとう姉貴預金。
ありがとう異世界宝石。
「こちらがマンゴーと言ってメロンに負けず劣らずな甘さと香り。しっかりした果肉感とかなり美味しい果物です」
ちなみにマンゴーも角切りにしてある。
というわけで試食をどうぞ。
「うみゅ!?」
「これ、凄く凄いですわ!!」
「美味い。太陽をイメージさせるような力強い味わいだ」
「なんならこれだけでも食べたい!!」
某どげんかせんといかん県のマンゴーは糖度が凄くて、白桃とかと比べられるレベルだしなぁ。
そりゃあ甘いし、美味いし、最高だよね。
「とりあえず、最初はこの果物たちと生クリームで食べるというのはどうでしょう?」
「賛成!!」
というわけで、まずはフルーツ&クリームの組み合わせでクレープを食べる事に。
……フルーツの種類が少ないんじゃないかって?
――メロンとマンゴーがね、予算がっつり持って行っちゃったのよ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます