第315話 あれとこれとそれと……
あー……手作り餃子ドッグうめぇ。
正直な話さ、俺は餃子の具は断然肉派だったのよ。
もちろん、エビ餃子とか野菜だけ餃子とか、挙句の果てにはサツマイモやカボチャを使ったデザート餃子まであるわけで。
その中でも、餃子と言えばやっぱり肉! だったんだけどなぁ……。
シャコナリケリとコシャコナリケリ、ちょっと美味すぎるわ。
俺の朝の分だけ蒸さずに置いといて、食べる直前に蒸したんだけどさ。
やっぱり何でもかんでも、出来立てが一番美味いね。
俺が知る餃子ドッグよりフワフワでモチモチだもん。
「醤油を入れてないのが逆にいいのかもしれん」
中の具材はもちろん美味しいんだけど、その中でも特にシャコナリケリとコシャコナリケリの旨味が際立ってるんだよね。
味覇と塩コショウでしか味付けしてないし、生姜の香りは後からフワッとするくらい。
醤油は良くも悪くも『醤油味』に固定になっちゃうからなぁ。
もちろん、海鮮丼とかで相性がいいのは知ってるけど、醤油を使わなくてもべらぼうに美味いなって。
……よし。
「えーっと、ポン酢ポン酢」
聞いたところによると、九州では肉まんとかをコンビニで買うと酢醤油が付いてくるのだとか。
何に使うの? と思うんだけど、どうやら生地に垂らして食べるんだって。
で、餃子にもポン酢ってのは前に餃子作った時にも言ってたんだけど……。
その中間のような存在の餃子ドッグにも、恐らく酢醤油使うんじゃない? と。
というわけで試してみよう。
小皿にポン酢を用意しまして、餃子ドッグをちょんちょんと。
生地に少し染み込ませて、ガブリ!
――あ、いける。
「って、そりゃあそうか」
不味い要素無いし、合わない要素皆無だもんね。
口に入れた瞬間にツンと香る酢の風味。
その刺激があるから、シャコナリケリやコシャコナリケリの甘さがグンと引き立って。
甘さの奥には、塩やら味覇でマシマシになった旨味がドッと押し寄せてくる。
その押し寄せる旨味は、ポン酢含みの生地によって受け止められ、口の中でしっかりとした調和を作り出し。
全ての食材が、どれか一つを目立たせるようなことも無く。
互いに作用しあって高めていくような、素晴らしいバランスの味わいに。
そっか~、ポン酢がマストだったか~。
「ていうか生地が美味いな」
あと、当たり前に食べてるけど、異世界で作られてきた生地が美味い。
フワフワでモチモチ、噛めばしっかりと弾力がある……材料何なんだろ。
普通に考えたら小麦なんだけど……普通じゃなさそうだしなぁ。
「ま、考えたら負けか」
そこから、ポン酢にちょいと浸して食べるをループしてたら、あっと言う間に完食。
朝ごはんだったんだけど、ペロリだったなぁ……。
いやぁ、美味かった。
「ご馳走さまでした」
というわけで蒸し器やらの洗い物を済ませ、洗濯物や掃除などの家事をこなす。
一人暮らしだからね、しょうがないね。
……そろそろ、自動掃除機でも買いましょうかしら?
――ラベンドラさん達が驚く姿が見える見える。どんな反応するのか、ちょっと見たいっちゃ見たいな。
割とマジで検討しとこう。
*
んで、メニューを考える時間なわけですよ。
揚げ物って言う大きな項目が潰されたせいで、俺の中のレシピじゃああまり思いつかないんよな。
こういう時は、助けて! グーグル先生!!
……そっか、ガブロさんのスモークサーモンあるし、シャコナリケリと合わせてマリネとか良いな。
いくらも買って来て散りばめたら見た目も豪華になるし。
……となるとプチコース料理みたいにしちゃうか? スープは……ビスク!
エビと言えば見たいなスープ来たわね! ……殻が要るのか。
確かに風味とか強いイメージだもんな……。 まぁ、最悪無くても良くない?
ちゃんとしたお店で出すとかじゃないわけだし。
じゃあ、マリネとビスクでサラダとスープにするとして……あとはメインか。
――揚げ物ばっかしか出てこん。 ……お? そう言えば確かに、エビと言えばエビチリだけどさ。
もう一つ双璧というか、有名な料理あったな。
オイスターソース炒めね、なるほど? 具材も決まってるわけじゃないし、見た目も華やかに出来る……。
じゃあこれにしよう。炒めるだけだし。
「となるとデザートがなぁ……」
マリネとビスクはフランスだし、オイスターソース炒めは中国の料理。
そこにどんなデザートを持ってくればいい?
……考えるの面倒だな、適当に見て回って目についたものでいいか。
というわけで調べたレシピを保存し、必要な材料を確認。
冷蔵庫の中と相談しつつ、買ってくるものを頭の中で組み立てて……。
「思えば、マンドラゴラって滅茶苦茶助かってたな」
文字通り様々な野菜に代わってくれていたマンドラゴラたち。
途中で動きだしたりしたけど、何だかんだ最後まで食べたしね。
今って野菜も高くなってきたから、そう考えるとマジで助かってた。
……減る量も凄かったけどさ。
「正直、マンドラゴラだけは定期的に欲しいよね。使い道困らないし」
なんて思いつつ、うだるような暑さの外に出て、サウナより酷い車内に入り込み。
シートベルトをしっかり付けて、安全運転でスーパーへ。
この暑さの中、マンドラゴラを車内放置してたらどうなるのか? なんて、悪魔みたいな考えを振り払い、今夜の晩御飯の食材を買いに向かうのだった。
車内放置、ダメ、絶対。
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