第308話 リクエスト×2
そもそもジェラートとは何ぞや?
アイスより空気を含んで無くて、さらにアイスより乳脂肪を含んでいない事がジェラートの条件。
……なるほど? 調べてみて思ったけど、だったら俺が作ったのはただのスイカアイスって事だな?
「先ほど食べた果実で作られたアイスクリームか」
「食べる前から美味しい事が確定しておりますわ!」
「食べよう!! 早く!!」
とマジャリスさんに急かされたので、早速みんなでパクリ。
……ん~~。
スイカの甘みとアイスのミルク感が絶妙に混ざっておりますねぇ!!
あとミルクのコクの後押しが最高。
サッパリでスッと消えるスイカの甘さを、見送りつつも存在感出してくる感じ。
「さっきのシャーベットも良かったが、こっちの方が好みじゃな」
「向こうはサッパリフレッシュ、こちらはミルクのクリーミィなコクのコラボレーション。どちらも素晴らしいですわよ?」
「意外にもミルクと合っている。ああいった清涼感のある果実は合わないと思っていたが……」
「美味い! 美味い!!」
うん、みんな気に入ってるね。
「向こうで溶岩地帯に居るせいか、こういう冷たい食べ物が体に沁みるわい」
「魔法で温度調節はしていますけれど、それでも暑いものは暑いですものね」
「その点カケルのこの家は素晴らしい。いつ来ても快適な温度だからな」
「家の設計士が凄いのだろう。室内の温度がどうなるかを完璧に計算して建てたのだろうな」
……うん。
エアコン大先生に俺の生命は握られているのだよ。
知らんのか? 現代日本人はエアコンが無かったら死ぬんだぜ?
夏も、冬も、な。
だからみんな、フィルターの掃除は小まめにしような!
必要な時に効かなくなって地獄を見るのは自分だぞ!!
「そちらで言う魔道具で温度調整してますから」
ちなみに俺の家はばあちゃんからある木造建築。
風通しとかは確かに計算されてるだろうけど、自然風<エアコンだからね。
今の季節は。
全部閉めきっちゃってるよ。
「そうなのか」
「外で焼き鳥をした時はあまり暑さは感じらんかったがなぁ」
「一応、常日頃から周囲の温度が一定になる様に魔法を展開しておりますのよ? それが作用したのでしょう」
……言われてみれば確かに。
焼き鳥の時、焼いてて火の近くにずっと居たガブロさんはともかくとして、あまり暑いと思わなかったような……?
というか待って? リリウムさん、一体いくつ魔法を展開してるの? 普段。
並行して発動とか出来るの? 魔法。
「なるほどの」
「その魔法を抜きにしても、流石に今居る火山地帯よりは圧倒的にこちらの方が過ごしやすいがな」
「まぁ、火山地帯と比べられると……」
いかに最近の日本が気温が高いとはいえ、火山とかとは比べ物にならんて。
某狩りゲーでもクーラードリンクとかあったし。
……え? 今は無い? マジ……?
「そう言えばじゃが、こちらの世界に冷たい料理は存在せんのか?」
「? ありますけど?」
「ガブロ、あまり無茶を――あるのか!?」
「あります。パッと思い浮かぶのですと麺類ですけど、冷たい味噌汁もありますし、肉も冷やすものがあったりしますよ?」
素麺に冷やし中華、冷製パスタなんかももちろんあるし。
冷や汁、冷しゃぶと冷たい料理は結構なんでも有り。
この世界の食事情、舐めたらあかんで?
「なんでもあるのか……」
「明日作ります?」
「いいのか!?」
「全然大丈夫です。じゃあ、明日は冷たい料理を作りますね」
シャコナリケリもあるし、贅沢にたっぷり乗せた、冷やし中華とかどうだろう?
いつもならハムとかカニカマとか乗っけてる所に、茹でて締めたシャコナリケリを乗せるの。
絶対に美味いじゃんね。
「さらに聞いておくとデザートのリクエストとかもあれば」
「ケーキ!!」
「待て。カケルの判断で料理に合ったデザートを願いたい」
「了解です」
……冷やし中華に合うデザート?
――そもそも冷やし中華って中華料理? 日本料理?
ま、調べてみればいいか。
「ではカケル、明日を楽しみにしとるぞい!」
「ふふ、本日もご馳走さまでしたわ」
「必要な材料の詳細も用意して貰えるとありがたい」
「ケーキ……」
と、約一エルフ恨めしそうな目を向けて来てたけど、出現した魔法陣にはすんなりと入り。
四人の背中を見送って、俺は即スマホポチ―。
えーっと、冷やし中華っと。
――日本発祥の料理か。一応ルーツは中国の涼麺らしいけど、原形無さ過ぎるらしい。
一応中国では日式涼麺って呼ばれてるってさ。
じゃあもう日本料理って位置づけでいいか。
で、そんな料理に合うデザートって言ったらやっぱり和スイーツかな。
冷たい奴がいいだろうし、何にするか……。
待てよ? ようかんとかであずきはクリアしてるし、クリームあんみつなんてどうだ?
アイスも入ってるし、和スイーツだしで条件をクリアしているのでは?
それに、寒天とか、他の和スイーツ御用達食材ももっと楽しんで欲しいしね。
よし、決めた。
白玉フルーツクリームあんみつを作ろう。
フルーツ缶買ってさ、全員に丼であんみつを食べて貰おう。
というわけで今日は寝る!! 明日朝起きたらちょっとだけ残しておいたユッケの具でユッケ丼食べるんだ……。
って、持ち帰りの事忘れてたけど大丈夫かな?
まぁ、最近割と持ち帰らない事増えてきたし、俺が作った料理食べて、ラベンドラさんが試したい料理が増えてきたんだろうね。
作る手間が省ける反面、食材の消費スピードが落ちちゃうのがなぁ。
まぁ、いいか。誤差だよ誤差。
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